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平成25年 5月 2日
1.四宮大使からのメッセージ
5月、リスボンでは雨の多かった冬もようやく終わり、まだ肌寒い日もありますが、4月中旬からやっと春らしくなりました。郊外の野山でも、野草が色とりどりの花を咲かせ、本格的な春の到来を告げています。
ポルトガルで、先月の第一週に立て続けに起きた政治面での激震は既述の通りですが、その後、この後始末とも言うべきいくつかの動きが続きました。 まず政府は、違憲判決により予想以上の不足が出た予算に、補正予算を作成せねばなりませんでした。今年の財政赤字の削減がトロイカ合意に達することを示す計画を提出できないと、今期分の資金援助が出ないのです。この条件は、政府が訴えてきたトロイカ融資の返済条件の緩和(返済期限の延長)のためにも必要でした。 政府にも国民にも、経済が疲弊する中で、新たな緊縮策を考えるという厳しい話です。40億ユーロの「構造的歳出削減策」を4月末までにトロイカに提示するという、抵抗の大きい仕事も控えていました。違憲判決で、巨大な障壁がさらに高くなったように思えたことでしょう。 違憲判決の直後には担当の財務大臣が辞意を漏らし、大統領との会見で慰留されるとの一幕もあったようです。しかし、補正予算と「構造的歳出削減策」という当面の作業は、その後なんとか進んでいる模様です。 また、ポルトガル政府は、既発の国債で2016年及び21年に大型償還があるため、トロイカ融資の返済期限を延期して欲しいと訴えてきた訳です。これに対し、先月のユーログループとEUの財務大臣会合では、アイルランドとともに、融資のEU負担分の返済を7年間に延長すると原則合意されました。当国が金融市場に復帰し、長期国債(10年もの)を起債できることにつながるもので、一つの前進でした。
このような動きの中で、4月25日の「革命記念日」には、国会で恒例の記念式典があり、各界の人々や外交団も招待されました。各党の代表が順に演説を行い、野党は改めて政府の緊縮策への批判を行いました。2週間前、ここで内閣不信任決議が否決されたばかりでもあり、野党の政府批判は国民の窮状を背景にしたものとはいえ、やや新味と迫力に欠けたように見えました。 これに対し、国会議長のあと最後に登壇した大統領は、緊縮策による犠牲に耐えてきた国民の責任感をたたえつつ、この危機にあっては、政治家は野党といえども政治的軋轢を優先するような行動は慎むべきだと、強い調子の演説を行いました。その基調は、年頭の演説と同じように、国民の一致団結が重要との趣旨でしたが、野党の対応を批判する所では、野党席も声を失っているように見えました。あとで、野党から大統領はその立場を超えて政府擁護を行ったと不満の声も出ました。しかし、議場の雰囲気は、長期間内閣を組織できない諸政党に対し、老大統領が叱責した先日のイタリア国会での光景を思い出させるように感じたのは、私だけではなかったと思います。
4月の終わりには、野党の社会党の大会がありました。同党のセグーロ書記長が、次期総選挙では党のためではなく国のために勝利しようと訴えて、トロイカ合意に沿った具体的な提案を行ったのも、こうした政治の経緯を意識した面もあるのではと感じた次第です。
季節の変わり目にあたり、皆様にはご自愛の程をお祈り申し上げます。
2.大使館からのお知らせ
(1)政治・経済関係
【閣僚の一部交代】
4月4日、ヘルヴァス国会担当相(当時)は一身上の都合により辞任するとして記者会見を行い、自身の政治活動を振り返りつつ、職務遂行に対する意欲を失った旨述べました。同大臣を巡っては、昨夏以降、学位取得に係わる疑惑、所掌業務における関連民間団体との不適切な繋がり等が指摘され、多方面から批判を受けていました。
同13日、大統領府において大臣2名と再任を含む副大臣4名の就任式が行われました。ヘルヴァス前国会担当相の後任としてマルケス・ゲーデス首相府・国会担当相(前首相府担当副大臣)、ミゲル・ポイアレス・マドゥーロ地域開発相(新設ポスト)が就任しました。また,同22日には副大臣3名の交代を含む5名の就任式も行われたところ、今般就任した副大臣は以下のとおりです。
フランシスコ・アルメイダ・レイテ外務副大臣(外務・協力担当) ベルタ・カブラル国防副大臣(国防担当) フェルナンド・アレシャンドレ内務副大臣(内務担当) テレーザ・モライス首相府・国会担当副大臣(国会・不平等是正担当) エミーディオ・ゲレイロ首相府・国会担当副大臣(スポーツ・青少年担当) ペドロ・ロンバ地域開発副大臣(地域開発担当筆頭) ジョアキン・カルドーゾ・ダ・コスタ地域開発副大臣(行政近代化担当) アントニオ・レイタオン・アマーロ地域開発副大臣(地方行政担当) マヌエル・カストロ・アルメイダ地域開発副大臣(地域開発担当)
【憲法裁判所による本年度予算の一部施策に対する違憲判決】
4月5日、憲法裁判所は本年度予算の一部施策に関する合憲性審査の結果を発表し、以下のとおり、計4条を違憲と判断しました。今次違憲判決による本年度予算への影響は13億ユーロ規模と言われています。
同7日、コエーリョ首相は違憲判決を受けてTVを通じ国民向けに声明を発表しました。同首相は、憲法裁判所の判断を尊重するとしつつも、国家に極めて深刻な影響をもたらす憲法解釈には同意しないと述べると共に、補正予算を組む意向を明らかにしました。また、今後増税は実施せず、社会保障、医療、教育、公営企業の分野で歳出抑制策を進める旨付言しました。
≪違憲判断された施策≫ »公務員に対する休暇手当(1カ月分)の支給停止 »期限付契約教員及び研究員に対する休暇手当(1カ月分)の支給停止 »年金生活者に対する休暇手当(1カ月分の90%)の支給停止 »疾病及び失業手当の削減
【トロイカ融資に係わる返済期限の延長】
4月12日、ガスパール財務相はダブリンで開催された非公式ユーログループ及びEU財務相会合(Ecofin)に出席し、会合後の記者会見で、ポルトガルとアイルランドに対するトロイカ融資(EU負担分)の返済期限7年延長で原則合意に達したと述べました。同財務相は、財政再建プログラムの進捗状況が異なるにも拘らず、両国を同時に扱うことは歓迎すべきことである旨言及しました。
【革命記念日式典におけるカヴァコ・シルヴァ大統領の演説】
4月25日、カヴァコ・シルヴァ大統領は共和国議会で「1974年4月25日」の革命記念日式典において演説を行いました。同大統領は、財政再建の過程で失業を初めとする深刻な問題が発生していることは確かであると指摘しつつ、対外債務の均衡、好調な輸出、銀行セクターの強化等の肯定的な面にも目を向けるべきと述べ、特に多大な犠牲と厳しい要求に応える国民の責任感を称えました。
また、政治家には選挙日程やその結果を気にするよりも幅広い視野(コンセンサス)を有することが求められるとし、国民を蔑ろにした政治的軋轢は政治家自身のみならず、国益を酷く傷つけることになると言及しました。更に、ユーロ危機は緊縮策と過剰債務国への制裁だけでは解決されず、欧州中央銀行(ECB)の「最後の貸し手」としての役割が重要であると述べ、「欧州市民年」である本年、欧州各国のリーダーらは市民の声に耳を傾けるべきと付言しました。
【日EU経済連携協定(EPA)交渉第1回会合など】
4月15日から19日まで、ベルギーのブリュッセルにおいて、日EU経済連携協定(EPA)交渉の第1回会合が開催されました。
今回の会合では、交渉の分野や取り進め方等について議論が行われ、双方代表団の間で認識を共有しました。また、専門家会合において、物品貿易、サービス貿易、投資、知的財産権、非関税措置、政府調達等の分野について議論を行いました。
第2回会合は6月24日の週に東京で開催することとなりました。
また、4月19日と22日の両日、東京において、日EU政治協定交渉の第1回会合が開催されました。
今回の会合では、同協定の構造や内容についてのそれぞれの基本的考え方につき意見交換を行いました。
第2回会合は夏前にブリュッセルで開催することとなりました。
(2)広報・文化関係
(お知らせ)
【ドキュメンタリー映画“O Sabor do Leite Creme”他の上演】
ポルトガル在住の映画監督鈴木仁篤氏及びRossana Torres氏監督によるドキュメンタリー作品“O Sabor do Leite Creme”他が下記の通り上映されます。詳細は、下記を御参照下さい。
?@ポルト市: 日時: 5月2日 22:00〜、 会場:Cinema Passos Manuel(Rua Passos Manuel 137 (ao Coliseu), Porto) ?Aリスボン市: 日時: 5月7日 18:00〜、 会場:会場:Teatro do Bairro(Rua Luz Soriano 63, 1200 Lisboa) URL:http://cinemamilimetro.tumblr.com / http://www.panorama.org.pt/2013/
【HARUHI-2013-】
アニメ・コスプレ・音楽・折り紙など様々な日本文化をテーマにした表記イベントが、以下の通り開催されます。詳細については下記までお問い合わせ下さい。
日時:5月4日(土) 会場:Escola Secundária Inés de Castro 住所:Rua Quinta do Fojo, Vila Nova de Gaia お問い合わせ:227 727 200 / info@esic.pt
【芸術と文学のティータイム- 一期一会】
日本ポルトガル交流470周年を記念し、エスピーニョ市の「Dr. Manuel Gomes de Almeida校」において、下記の通り生徒・教職員による踊り・詩・歌・影絵等の標記日本関連イベントが開催されます。詳しくは、下記までお問い合わせ下さい。
日時:5月16日(木) 会場:Agrupamento de Escolas Dr. Manuel Gomes de Almeida 住所:Rua 35, 4501-852 Espinho お問い合わせ:Tel.: 227 340 580 / Fax: 227 346 804
【ポルトガルギター・マンドリンデュオ「マリオネット」の公演】
日本ポルトガル交流470周年を記念し、ポルトガルギターとマンドリンのデュオ「マリオネット」によるコンサートが以下の通り開催されます。詳細については、下記までお問い合わせ下さい。
日時:6月6日(木)21:00〜 会場:ホテル「Palácio Estoril」 住所:Rua Particular, 2769-504 Estoril 入場料:無料 お問い合わせ:213 110 560 / cultural@embjapao.pt(大使館広報文化班)
【第3回「日本祭り」(Festa do Japão)の開催】
ベレン地区の日本公園において、下記の通り日本文化紹介イベント第3回「日本祭り(Festa do Japão)」が開催されます。和太鼓及び伝統芸能、生け花、折り紙、書道、コスプレ、武道演武、日本食の出店他様々な催しが予定されています。本年は、立命館アジア太平洋大学(APU)の和太鼓・民族舞踊グループ「荒馬 『緒(ちよ)』」及び、日本に民謡をベースにアジア・アフリカ・ブラジル音楽等、ジャンルを越えて活動するバンド「キウイとパパイヤ、マンゴーズ」の公演も予定されており、より賑やかな日本の夏祭りの雰囲気を楽しめるイベントとなります。また、「荒馬 『緒(ちよ)』」は、6月12日(水)の夜、6月の間市内各所で行われるリスボン祭り(Festas de Lisboa)のメイン行事の一つであるリベルダーデ大通りのパレード(Marchas Populares)にも参加予定です。
日時:6月15(土) 16:00〜22:00 会場:日本公園(Jardim do Japão) 住所:ベレン地区、Museu de Arte Popular隣 入場料:無料 お問い合わせ先:213 110 560 / cultural@lb.mofa.go.jp(大使館広報文化班) URL:http://www.pt.emb-japan.go.jp/470Anos/calendario_jp.html
【オリエント博物館主催行事】
オリエント博物館(Museu do Oriente)では、以下の日本関連のワークショップ等が予定されています。詳細は下記までお問い合わせ下さい。
会場:オリエント博物館 住所:Av. Brasília - Doca de Alcântara (Norte), Lisboa お問い合わせ:info@foriente.pt / 213 585 200(オリエント博物館)
(実施報告)
【日本大使館によるマデイラ・トーレス高校における日本関連講演及び折り紙ワークショップ】
4月12日、トーレス・ヴェドラス市のマデイラ・トーレス高校(Escola Secundária Madeira Torres)において、同校生徒および教員を対象として日本大使館による日本事情に関する講演及び折り紙デモンストレーションが行われました。講演・デモンストレーションを通して、参加者一同は、多様な日本文化の側面に一層の関心・興味を持った様子で、盛況裡にイベントは終了しました。
【イベロアニメ2013】
4月13・14日、リスボン市アトランティコホール(Pavilhão Atlântico)において、日本のポップカルチャー紹介イベント「イベロアニメ2013」が開催されました。大変な人出で賑わう中、日本大使館も日本スペースを設け、生け花、書道、折り紙、風呂敷、浴衣、伝統玩具等の紹介を行いました。
【ポルト大学文学部図書館「日本月間」における講演】
ポルト大学文学部では、図書館に日本に関する書籍100冊が日本財団より寄贈された機会に、4月を「日本月間」としています。その一環として、4月16日、日本文化についての講演会が実施され、日本大使館広報文化班の近藤書記官が「日本における伝統と技術の共存」をテーマに講演を行いました。
(その他)
【「第7回国際漫画賞」の作品募集開始】
今年で第7回目となる外務省主催「国際漫画賞」の作品を募集いたします。募集期間は4月15日(月)から5月31日(金)まで(但し、在ポルトガル日本大使館宛て直接提出いただく場合は5月20日(月)まで)となっています。詳しくは、下記URLをご参照下さい。
【日本政府文部科学省奨学金留学生募集】
日本政府文部科学省によるポルトガル人を対象とした奨学金留学生(2014〜2016年度)を募集しています。詳細については、こちらのサイトをご覧いただくか、日本大使館広報文化班(21-311-0560)までお問い合わせ下さい。
【フィゲイラ・ダ・フォス市における第25回国際児童歌唱コンクールの参加者募集】
標記児童歌唱コンクールへの日本人参加者(5〜10才)を以下の通り募集しています。詳しくは、下記までご連絡下さい。
日時:8月11日(日) 会場:フィゲイラ・ダ・フォス市Centro de Artes e Espetáculos (CAE) 応募締め切り:5月31日(金) お問い合わせ:municipe@cm-figfoz.pt / 233 403 300 応募先:Divisão de Cultura da Câmara Municipal da Figueira da Foz URL:Centro de Artes e Espetaculos (CAE) / 応募規定 / 応募用紙
【2013年 - 日本・ポルトガル交流470周年】
2013年は、日本とポルトガルが、1543年の種子島における鉄砲伝来を契機に交流を開始してから470周年に当たります。ポルトガルは日本と最も長い交流の歴史を有するヨーロッパの国であり、この470年にわたる両国の友好の絆を未来へ向けて一層強化し発展させるべく、2013年は年間を通じ、日ポ両国において様々な記念事業等が行われています。
当館では、交流470周年に向けて、「イベントカレンダー」、「イベントのご登録」をはじめとする470周年関連情報用サイトを開設しています。随時更新して参りますので、ぜひご参照の上、皆様の幅広いご参加・ご登録、並びにご支援を賜れればと思います。また、日本・ポルトガル交流470周年ロゴマークを作成しておりますので、併せご紹介いたします。ロゴマークの使用規定につきましても日本・ポルトガル交流470周年関連情報用サイトを御覧下さい。
(3)領事関係:お願い
【在外選挙について】
本年は、参議院議員通常選挙が予定されております。在外選挙人登録をされていない方は、お早めに登録されることをお奨めします。在外選挙人申請に必要な書類は下記のとおりとなります。詳細については、当館領事班までお問い合わせください。
なお、日本に住民票を残されている方、当地滞在3ヶ月未満の場合は登録できませんのでご注意ください。 必要書類:在外選挙人名簿登録申請書、本人確認書類(原則、旅券)、 住所の確認出来る書類(在留届を提出済みの場合は、不要です) (登録後、在外選挙人証が届くまでに2ヶ月程度要します)
【E-mail登録のお願い】
インターネットを閲覧することができる方で、まだ当館にE-mailアドレスを登録されていない方は、是非E-mailアドレスをご登録下さい。 E-mailを登録していただきますと、大使館便りをE-mailで受け取ることができるほか、イベントの告知や緊急情報等、大使館からの様々なお知らせもE-mailにてお受取りになれますので、E-mailアドレスの登録をお奨めします。
【在留届に関するお願い】
近年、海外で生活する日本人が急増し、このため海外で事件や事故等思わぬ災害に巻き込まれるケースが増加しています。万一、在留邦人の皆様がこのような事態に遭われた場合には、日本国大使館や総領事館は「在留届」を基に皆様の所在地や緊急連絡先又は日本国内の連絡先等を確認して援護活動を行っています。 当館でも、皆様に提出いただいた在留届により連絡先の把握を行い、大使館からの海外危険情報や広報文化活動などの情報提供、緊急時の連絡網整備、安否確認に役立てているところです。
このため、ポルトガル国内での転居、日本への帰国、他国への転出等、在留届の届け出事項に変更が生じた後、引き続きこの大使館便りをご覧の方は、速やかにその旨を下記領事班あてにE-mailにてご連絡ください。
また、皆様の友人・知人で「ポルトガルに居住しているが、まだ在留届を提出していない方」がおられましたら、届出を行うようご案内ください。
(4)その他
【メールアドレスの変更】
この度、当館のメールアドレスが下記のとおり変更となりましたのでお知らせいたします。
広報文化班 cultural@lb.mofa.go.jp / 領事班 consular@lb.mpfa.go.jp
【当館領事業務へのご意見募集】
当館では、領事サービスの向上を図るため、皆様からのご意見を募集いたしております。どのような些細な事柄でも結構ですので、ご意見・ご要望等があればお気軽に領事班にご連絡ください。 |