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平成26年 11月 5日
1.東大使からのメッセージ
夏時間も終わり、秋も深まりを見せる今日この頃、皆様におかれましては、御健勝にて御活躍のこととお慶び申し上げます。
10月には、「安倍総理ポルトガル訪問のフォローアップ」として、「日本の書展」及び「コロキアム:日本・ポルトガル・欧州連合(EU)協力」が開催されました。また、「コロキアム」開催にあわせて「JETRO ビジネス・ミッションのポルトガル視察訪問」が実施されました。
◎「日本の書展」
10 月 9 日「日本の書展」のオープニング(於:カルースト・グルベンキアン財団)で私の挨拶でも述べましたとおり、これだけの大規模な「日本の書展」は、ポルトガルでは初めての開催となるものです。 日本とポルトガルの長い交流の歴史において、史上初の現職総理のポルトガル訪問(5月)や日本のCPLP(ポルトガル語圏諸国共同体)オブザーバー加盟(7月)等、日本とポルトガルの両国にとって、歴史的に意義深く重要な本年に、このような芸術性の高い事業を開催できましたことは、まさに時宜を得たものであり、安倍総理ポルトガル訪問の際に発出された「共同コミュニケ」にある「相互理解の促進」に大きく寄与するものであると確信しております。 「書」は日本文化の結晶であり、日本芸術の神髄を紹介する同展覧会の開催は、両国間の歴史的な友好関係がこの先もより長く、友情と文化交流に満ちたものへとなるよう導いてくれるものと期待しております。 「日本の書展」は、12月まで開催しておりますので、皆様にも是非御覧になって頂ければ幸甚に存じます。 なお、「日本の書展」の概要、及びオープニングの模様については、この「大使館便り」の「4.広報・文化関係」の項目を御参照下さい。
◎講演・討論会「コロキアム:日本・ポルトガル・欧州連合(EU)協力」の開催
10月28日(火)、日本国大使館はポルトガル外務省と共催で講演・討論会「コロキアム:日本・ポルトガル・欧州連合(EU)協力」を開催しました。 この「コロキアム」は、安倍総理のポルトガル訪問に際し、日ポルトガル首脳会談において、両国首脳が「日本とポルトガル、日本とEUとの間で政治、経済、文化の面で相互理解と協力を一層進めるために会合を開催する」ことで一致したことを受けて、開催の運びとなったものです。 「コロキアム」は、ルイ・マシェッテ外務大臣と私による開会の辞で始まりました。ここで私は岸田文雄外務大臣より寄せられたメッセージを代読して披露しました。 この「コロキアム」は、大きな関心を呼び、平日の日中の開催であったにもかかわらず、当地の政府、議会、経済界、学術研究組織、報道機関、外交団・国際機関などから、高いレベルでの参加があり、約120名の参加者を得て会場は終日ほぼ満席となりました。 この「コロキアム」では、我が国、ポルトガル、EUから高い見識と豊かな経験を持つ出席者を得て、高い水準の忌憚のない討議を行うことが出来ました。ポルトガル側にとっても、このように大規模な知的交流行事を外国大使館と行ったことは初めての由であり、これを成功裡に実施出来たことは二国間関係上も、極めて有意義であったと考えています。
今般の「コロキアム」で示された考え方やアイディアは、今後、来年初めにも想定されるパッソス・コエーリョ首相の日本公式訪問に向けて、日ポルトガル関係、日EU関係を一層前進させていく上で、有効に活用して行きたく存じます。
なお、「コロキアム」概要については、この「大使館便り」の2.を参照下さい。 また岸田文雄外務大臣より寄せられたメッセージを含む私の開会の辞は当館ホームページを参照下さい。
◎JETRO ビジネス・ミッションのポルトガル視察訪問
「コロキアム」開催準備中にポルトガル側から示された、二国間経済関係(特にビジネス交流)への強い関心にも配慮し、「コロキアム」の開催時期に合わせて、パリジェトロの協力を得て、在欧州日本企業ミッションのポルトガル視察訪問を実施頂きました。「コロキアム」においてもパリジェトロ所長のプレゼンやミッションメンバーとして、パリ、ロンドン、マドリッド等在欧州日本企業から25名の方に参加頂きました。 また、28日夜に私は、公邸にてレセプションを主催し、コロキアム関係者のみならず、このジェトロミッション参加企業と当地ポルトガル日本商工会議所の代表も招待して、交流推進を図りました。 なお、このレセプションにはマサンエス外務副大臣、ペレイラ欧州議会議員なども出席しました。 同企業ミッション来訪の機会に、29日、安倍総理ポルトガル訪問の際の「共同声明」にJETRO(日本貿易振興機構)との協力促進が言及されているAICEP(ポルトガル投資貿易振興機構)がセミナーを実施し、ポルトガルに対する投資の魅力やポルトガルの優良企業4社によるプレゼンテーションを行いました。 また、ジェトロミッション一行は、「大陸棚延長機構」(EMEPC)や「シャンパリモー財団」を訪問しました。 更に、一行は、ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)・ビジネス連盟主催のコクテルに出席しました。こうして、ポルトガル語圏諸国共同体・ビジネス連盟加盟企業と日本企業の初めての出会いが実現しました。 次いで、30日、同ビジネスミッション一行は、「シーネス港」やベージャに本部がある「アルケヴァ開発・インフラ整備公社」及びアルケヴァ農業開発地域を視察しました。 私も一行に同行しましたが、今後の日本とポルトガルの貿易・投資関係促進にとり、極めて有益な訪問となりました。また、日本のCPLP(ポルトガル語圏諸国共同体)オブザーバー加盟(7月)以降、初めて、ポルトガル語圏諸国共同体・ビジネス連盟加盟企業と日本企業の出会いが実現したことは、大きな意義があったと感じています。 参加日本企業の方々からも、今後の各社の事業展開に当たって、「ポルトガルとの貿易・投資関係促進について、新しいアイデアが浮かんだ」、「今後の事業展開に当たって、ポルトガルをゲートウェイとして、「EU諸国」更には「CPLP(ポルトガル語圏諸国共同体)諸国」での活動も視野に入れていきたい」との心強い反応を頂きました。
このように、10月には、「安倍総理ポルトガル訪問のフォローアップ」として、政治、経済、文化面で、両国関係にとり重要な進展を見ることができましたが、今後、コェーリョ首相の訪日に向けて、両国関係強化の具体策について皆様とも引き続き御相談致したく、御協力の程宜しくお願い致します。
11月に入り、季節の変わり目となりますが、皆様におかれましては、御自愛の上御活躍されますようお祈り申し上げます。
2.講演・討論会「コロキアム:日本・ポルトガル・欧州連合協力」(開催報告)
10月28日(火)、日本国大使館はポルトガル外務省と共催で講演・討論会「コロキアム:日本・ポルトガル・欧州連合(EU)協力」を開催しました。 「コロキアム」は、ルイ・マシェッテ外務大臣と東博史駐ポルトガル大使による開会の辞で始まりました。ここで東大使は岸田文雄外務大臣より寄せられたメッセージを代読して披露しました。 続いて、「コロキアム」では、国際文化交流と日欧関係、日EU政治・安全保障関係、日ポルトガル間ビジネス関係について、終日活発で忌憚のない討議が行われました。 日本側からは、渡邊頼純慶応大学教授が基調講演を行い、また水鳥真美セインズベリー日本藝術研究所統括役所長、奥山爾朗EU代表部大使がそれぞれ講演を行いました。また、池森啓雄ジェトロパリ所長、北島剛成ポルトガル日本商工会議所副会頭が、日ポルトガル間のビジネス交流について、それぞれの立場から意見を述べられました。 日ポルトガル関係については、両国の長い歴史的なつながりの上に、5月の安倍総理によるポルトガル訪問を受けて、幅広い分野で関係を強化していくことの必要性が指摘されました。また日EU関係については、特に日EU経済連携協定(EPA)の早期締結の重要性が強調されました。 「コロキアム」は、ブルーノ・マサンエス欧州担当外務副大臣が閉会の辞を述べて、締めくくられました。 この日の講演・討論を通じて、日本とポルトガル、日本とEUとの関係について、様々な意見やアイディアが示されましたところ、これらは今後の双方の交流強化のために有効に活用されていきます。
※コロキアムでの東大使の挨拶文、コロキアムの様子を撮影した写真については当館ホームページをご参照下さい。 (東大使挨拶:大使館ホームページ「大使館関係全般」) http://www.pt.emb-japan.go.jp/jp/indexjp.htm (コロキアム報告) http://www.pt.emb-japan.go.jp/jp/japao_portugal/20141028_coloquio_houkoku.html
3.政治・経済関係
【共和国樹立記念日式典におけるカヴァコ・シルヴァ大統領の演説】 10月5日、カヴァコ・シルヴァ大統領は、リスボン市庁舎で開催された共和国樹立記念日式典で演説を行い、持続的な経済成長と雇用創出に向け、将来には数多くの課題が控えていると述べました。また、深刻な経済危機の下で、国民は模範的な愛国心と責任感を示す一方、政党には自らの利益のみを考慮した視野の狭い政策へ固執するのではなく、(危機克服のために)政党間の合意が不可欠であると強調しました。更に、ポルトガルの若者たちは悲観主義に陥らず、エネルギーと優れた才能を無駄にしてはならないと述べました。
【2015年度予算案の共和国議会への提出】 10月15日、アルブケルケ財務相は、2015年度予算案をエステーヴェス共和国議会議長に提出後、本予算案に関する記者会見を行いました。同財務相は、2015年は財政の持続可能性にとって挑戦の年になるとしつつも、財政再建と経済回復の均衡点を模索した予算案であると述べました。また、本予算案はポルトガルのユーロ参加以降で初めて、財政赤字が対GDP比で3%を下回るほか、公的債務は123.7%、失業率は13.4%へと低下し、GDP成長率は1.5%を見込むなど、マクロ経済指標が上向きであると強調しました。更に、トロイカ合意による2015年の財政赤字目標については、2.5%から2.7%へ変更するが、これは過剰財政赤字の是正手続の終了に向けた決意と、トロイカ支援後における財政再建の継続に対する努力を示すものであると述べました。
4.広報・文化関係
(1)イベントのお知らせ 【2014年「日本の書展」ポルトガル展】 「全国書美術振興会」、在ポルトガル日本国大使館及びグルベンキアン財団の共催により、下記のとおり「日本の書展」が開催されています。詳細は、下記までお問い合わせ下さい。
日時:10月10日(金)〜 12月28日(日) ※月曜及び12月25日は休館 会場:カルースト・グルベンキアン財団本館1F展示ギャラリー 住所:Av. Berna 45 A, 1067-001 Lisboa お問い合わせ:cultural@lb.mofa.go.jp、 213 110 560(日本国大使館広報文化班)
【「盆栽全国大会」の開催】 「ポルトガル盆栽連盟」(FPB)の主催により、下記のとおり、全国盆栽大会が開催されます。会合では、会員による優秀作品の展示他、来年の欧州盆栽大会に参加するポルトガル代表の選出、折り紙や楽焼の展示も予定されています。
日時:11月22日(土)、 23 日(日) 会場:Estufa Fria de Lisboa, Parque Eduardo VII お問い合わせ: federacaoportuguesadebonsai@gmail.com
(2)報告 【「日本の書展」ポルトガル展オープニング】 10月9日、グルベンキアン財団特別展示ギャラリーにおいて、「日本の書展」ポルトガル展(全国書美術振興会、グルベンキアン財団、在ポルトガル日本大使館共催)のオープニングが開催されました。開会式では、アルトゥール・サントス・シルヴァ同財団理事長、荒船清彦同振興会会長、東博史駐ポルトガル日本国大使の挨拶に引き続き、参加者は現代日本を代表する書家による91作品を鑑賞、その後市澤静山、師田久子両書家によるデモンストレーションが行われ、両師範の力強くかつ流麗な筆捌きを存分に堪能しました。 また、翌10日にも、同会場において一般向けデモンストレーションが行われ、大変な好評を博しました。
【リスボン大学美術学部における書道デモンストレーション及びワークショップ】 上記「日本の書展」の開催に合わせ、10月10日、リスボン大学美術学部において市澤静山、師田久子両書家による書道デモンストレーション及びワークショップが行われました。 ワークショップでは、参加者が実際に筆を取って、「海」、「光」、「しあわせ」、「ありがとう」などの文字を書き上げました。現代日本を代表する書家の添削や指導を受けながら日本の伝統文化を体験するまたとない機会となりました。
【Iberanime OPO 2014における日本文化紹介】 10月11日及び12日、ゴンドマール(Gondomar)市多目的イベント会場において、アニメ、マンガ、コスプレ、ビデオゲーム他日本のポップカルチャーをテーマとしたイベント「IBERANIME OPO 2014」が開催されました。イベントでは、上記日本のポップカルチャーをテーマとした催しが行われ、日本国大使館ブースでは、折り紙、習字、浴衣等の日本の伝統文化紹介及び簡単な日本語クラスも開かれて、2日間に亘り数多くの日本文化愛好者で大変な賑わいを見せました。
【渡邊慶應義塾大学教授による講演会「Japan and Europe at a crossroads: to add new dimension to our relationship today and tomorrow」(於:ポルトガル・カトリカ大学)】 10月27日、ポルトガル・カトリカ大学において、同大学政治学院との共催にて、渡邊頼純慶應義塾大学教授による講演会が開催されました。 渡邊教授は、国際貿易分野を中心とする研究及び実務で多くの業績をあげてこられた豊富なご経験をもとに、二国間・多国間自由貿易の促進に関し、日本の対外経済政策、様々な自由貿易協定交渉の現状を踏まえ説明を行いました。 この講演会には、マリア・スアレス元大統領夫人も聴講にお越し下さいました。 参加された大学関係者、学生、企業関係者にとって、日本の経済政策に関する理解を深める貴重な機会となるとともに、日本とポルトガル間の学術交流に資する講演となりました。 今回、講演会の開催にご協力をいただいたエスパーダ政治学院長をはじめとする政治学院関係者の皆様、また、講演会に参加いただいた皆様に感謝申し上げます。
【水鳥真美セインズベリー日本藝術研究所統括役所長による講演会(於:リスボン大学)】 10月28日、リスボン大学文学部において、英国のセインズベリー日本藝術研究所統括役所長である水鳥真美氏による講演会が行われました。参加者の大半が同学部に所属する学生で占められた同講演では、まずセインズベリー日本芸術研究所の機能や活動内容に関する紹介があり、その後、水鳥所長は近年の海外における日本文化の広報政策にも触れつつ、日本文化はあらゆる国で各国の人々を介して発展しているものであり、その発展の過程を理解し、そこから学ぶことの重要性について説明されました。 同講演は、とりわけアジア研究課程の学生にとっては、日本文化に関する知識向上や更なる関心喚起に資する機会となりました。 パウロ・アルベルト・リスボン大学文学部長、ペドロ・コレイア同学部教授をはじめ、同学部関係者のご協力に感謝申し上げます。
[広報文化班からのお知らせ] 今後、当館主(共)催による日本関連イベント開催に当たり、大使館便りに加えてEメールによる招待状やイベント情報の送付を希望される方は、こちらまでご連絡下さい。
5.領事関係
【旅レジのご案内】 外務省では,7月1日から海外旅行者向けに,外務省海外旅行登録「たびレジ」を実施しております。この制度は海外旅行者や出張者のような短期渡航者の方に現地での滞在予定を登録していただくことで最新の渡航情報などの提供や緊急事態発生時の対応に活用することを目的としているものです。登録は任意であり,外務省ホームページの専用サイトに必要事項(旅行日程,滞在先,連絡先など)を入力することで手続きすることができます。
旅レジ登録サイト:https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/
【在外選挙人証の登録について】 在ポルトガル日本国大使館では、在外選挙人名簿への登録申請を受け付けております。日本 国籍を有する20歳以上の有権者で、ポルトガルに3か月以上継続して居住している方は、在外選挙人登録を申請することができます。在外選挙人登録をすることにより、外国に住んでいても国政選挙に投票することができるようになりますので、該当される方は登録をお願いいたします。 なお、申請の際にはパスポートが必要となります。 本件申請に関して、ご不明な点などがありましたら当館領事班までお問い合わせ下さい。
【在留届に関するお願い】 近年、海外で生活する日本人が急増し、このため海外で事件や事故等思わぬ災害に巻き込まれるケースが増加しています。万一、在留邦人の皆様がこのような事態に遭われた場合には、日本国大使館や総領事館は「在留届」を基に皆様の所在地や緊急連絡先又は日本国内の連絡先等を確認して援護活動を行っています。 当館でも、皆様に提出いただいた在留届により連絡先の把握を行い、大使館からの海外危険情報や広報文化活動などの情報提供、緊急時の連絡網整備、安否確認に役立てているところです。 このため、ポルトガル国内での転居、日本への帰国、他国への転出等、在留届の届け出事項に変更が生じた後、引き続きこの大使館便りをご覧の方は、速やかにその旨を下記領事班あてにE-mailにてご連絡ください。 また、皆様の友人・知人で「ポルトガルに居住しているが、まだ在留届を提出していない方」がおられましたら、届出を行うようご案内ください。
【当館領事業務へのご意見募集】 当館では、領事サービスの向上を図るため、皆様からのご意見を募集いたしております。どのような些細な事柄でも結構ですので、ご意見・ご要望等があればお気軽に下記領事班あてにE-mailにてご連絡下さい。
在ポルトガル日本国大使館(領事班) (EMBAIXADA DO JAPÃO)
住 所:Avenida da Liberdade、245-6 1269-033 Lisboa T E L:21-311-0560 F A X:21-354-3975 E−mail:consular@lb.mofa.go.jp
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