大使館TOP領事情報>大使館便り(第107号)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成24年 2月 1日
在ポルトガル日本国大使館

 

1.四宮大使からのメッセージ

 

2月、今年のリスボンは雨の日が少なく、テージョ川に生ずる濃霧も数える程しかありません。このままでは水不足になる、と心配する向きもあるようです。

 

1月には、用務で日本に帰る機会がありました。東京での会議のあと福島県を訪れ、被災地の復旧・復興作業や放射能汚染の除去作業などを視察しました。県知事や相馬市長をはじめ地元の方々から、全力で取り組んでおられる様子をお聞きし、ご苦労に頭が下がる思いとともに、我々も出来る限りの協力をしなければと改めて感じました。

 

その後、ポルトガルと姉妹関係にある徳島市と種子島(西之表市)をそれぞれ訪問しました。

徳島市には明治末から昭和の初めまで、ポルトガルや西欧社会に日本や徳島を紹介する文書を多数残したヴェンセスラウ・デ・モラエスが住んでいました。徳島市長とは、今後の交流促進についてお話しをさせていただき、姉妹都市のレイリア市長が近く経済関係者を連れて徳島を訪問したいとの伝言もお伝えしました。徳島ポルトガル協会のご案内でモラエスの事跡を視察し、また地元の関係者と経済交流についてお話する機会もありました。

昨年9月にレイリヤ市を訪れた縁で、徳島市の企業がそこのワインを輸入する話が進んでいるとの嬉しいお話も伺いました。来年はモラエスが徳島に移り住んで100周年にあたります。大使館もこのような機会に、経済面も含めた交流発展への支援に務めたいと考えています。

種子島では、姉妹都市のヴィラ・ド・ビスポ市の市長から西之表市長に宛てた親書をお渡しました。ポルトガルの経済困難を背景に、ここでも経済交流を進めたいとのご意向です。市当局や教育、文化交流の関係者、経済・観光団体の方々とは、若い人の交流や種子島経済(観光)にも寄与する交流計画を考えようと話し合いました。大使館も応援したいと思っています。

来年は種子島にポルトガル人が漂着し、鉄砲が伝来してから470周年です。彼らが上陸した門倉岬は、島の南端の切り立った崖の下に狭い浜辺が続くところでした。遠くに「宇宙センター」のロケット発射台が見渡せるこの風景は、欧州人が初めて日本に来訪した歴史の記憶と不思議なコントラストを感じさせるものでした。

 

今回の日本滞在は、リスボン市長が東京でのアジア・欧州「市長会議」で初めて訪日した日程と重なりました。この機会に、ポルトガル社会党の重鎮である同市長を国会のポルトガル友好議員連盟会長や外務省の政務官にご紹介し、また都内や地方での視察実施にも協力させていただきました。リスボン市長は日本文化の他、防災関連の行政やスマートシティー計画等も熱心に視察し、忙しい日程をこなして帰国されました。右訪日が、リスボン市と日本との距離をさらに近づける布石になれば幸いです。

 

少し当地を離れている間に、ポルトガルを巡る経済情勢も動いていました。増税と政府支出の削減は、マクロ経済の面だけでなく、人々の生活にも暗い影を落として来ています。小売店の顧客数や自動車の交通量が少し減少してきたように観察されます。ポルトガル国債は、格付けのさらなる引き下げをきっかけに利子率が急騰し、政府は否定していますが、財政支援の上積みの必要性まで論評されています。

政府はトロイカとの政策合意に沿い、例えば労働法の改正(雇用条件の緩和による労働市場の流動性強化等)に向けて、労使双方の代表と合意を取り付けました。しかし、共産党系の労組は右合意を拒否するなど、労働組合にも反発を強める向きが出てきています。財政赤字に関する昨年の目標数値は、トロイカとの合意をクリアーしたようですが、国民生活への影響はさらに増していくでしょう。この国が厳しい現実にどう対処していくのか、注意深く見守っていきたいと思っています。

 

皆様には、時節柄ご自愛の程をお祈り申し上げます。

 

 

 

2.大使館からのお知らせ

 

(1)総政務・経済班からのお知らせ

 

【震災1周年追悼・復興のための行事開催のお知らせ】

 

2012年3月11日(日)で東北地方を中心に甚大な被害を与えた未曾有の東日本大震災から1年を迎えます。在ポルトガル日本国大使館では、犠牲になった方々を悼むと共に、これまでの支援に感謝し、更なる復興を願うためリスボン市内レスタウラドーレス広場のフォス宮にて追悼・復興レセプションを開催する予定です。この日には、被災地域の復興状況と我が国の進んだ地震防災対策を紹介するため、震災復興写真展及び防災セミナー(日本から講師を招聘予定)を合わせて開催致します。詳細は決まり次第お知らせ致します。

 

日時:2012年3月11日(日) 12:00〜18:00
                    (セミナーは、14:00〜)

会場:フォス宮

住所:Praça dos Restauradores, 1250 Lisboa

 

 

【カヴァコ・シルヴァ大統領による新年スピーチ】

 

カヴァコ・シルヴァ大統領は、1月1日夜、新年の国民向けスピーチを行い、国家の対外的信頼性を取り戻すためには、財政再建プログラムの履行だけでなく、経済成長及び雇用創出を見据えた構造改革が必要であると述べました。さらに、ポルトガル国民の社会生活に深刻な影響を及ぼした昨年に引き続き、本2012年も国民には多大な犠牲に対する忍耐が求められるが、自分(大統領)自身は支援を必要とする人たちに寄り添い、連帯と希望の言葉を伝える旨表明しました。

 

 

【米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による国債格下げ】

 

S&Pは、ユーロ圏9ヵ国の国債及び欧州金融安定ファシリティ(EFSF)債の格下げを発表し、ポルトガルの長期国債格付けを2段階引下げ(BBBマイナス→BB)、投機的水準(見通しはネガティヴ)としました。同社は、格下げ理由として、ポルトガル政府の財政再建戦略が外的要因に左右されやすいことを挙げています。なお、S&Pの今次格下げにより、ムーディーズ社及びフィッチ社を合わせた主要格付け会社3社全てにおいて、ポルトガル長期国債は投機的水準とされました。

 

 

【社会協議常設委員会(CPCS)(注)における労働市場改革案の合意】

 

財政再建策の一環である労働市場改革を議題としたCPCSが行われ、約17時間に及ぶ協議の末、政府・労組(社会党系UGTのみ。共産党系CGTP/INは途中退席)・企業連合の3者間で合意に達し、コエーリョ首相が合意文書に署名しました(19日に閣議承認)。主な内容は、解雇手続きの簡略化、解雇手当の削減、有給及び祝祭日の削減、飛び石連休防止、失業手当の給付期間短縮・手当額減額等です。また、特に注目を集めた労働時間1日当たり30分延長案は、UGT等の強い反発のため取り下げられました。

 

(注)首相、関係閣僚、労組幹部、企業連合の会長らで構成される法律で設置された公式協議の場。労働分野に関する重要事項に関し、政・労・使の3者間で意見の調整を行い、法改正を視野に入れた合意の形成を目指すことが主な目的。

 

 

 

(2)広報・文化班からのお知らせ

 

【「2012リスボン観光フェア」への参加】

 

当館は、下記の通り開催される「2012リスボン国際観光フェア」(BTL)に「日本スペース」を出展します。「日本スペース」では、来場者に対し日本に関する様々な観光情報の提供、併せて各種日本文化の紹介を行う予定です。詳細については現在調整中であり、下記までお問い合わせください。

 

日時:2月29(水)〜3月4日(日)

会場:リスボン国際見本市会場(FIL)

住所:Rua do Bojador - Parque das Nações, 1998-010 Lisboa

問い合わせ先:213 110 560 / cultural@embjapao.pt (大使館広報文化班)

URL:http://www.btl.fil.pt/

 

 

【折り紙ワークショップの開催】

 

下記の日程で、在ポルトガル日本国大使館主催による折り紙ワークショップが開催の予定です。詳細については現在調整中であり、下記問い合わせ先までご連絡下さい。

 

日時:3月15(木)、16(金)、19(月)、20日(火)

会場:在ポルトガル日本大使館 多目的ホール

住所:Av. da Liberdade, No 245-6º, 1269-033 Lisboa

入場料:無料

問い合わせ先:213 110 560 / cultural@embjapao.pt (大使館広報文化班)

 

 

【日本語・日本文化関連分野の文部省奨学生募集】

 

文部科学省は、日本語・日本文化関連分野を専攻するポルトガル人留学生を募集します。応募締切りは3月8日(木)、詳細については下記サイトを参照、もしくは大使館広報文化班までお問い合わせ下さい。

 

URL:http://www.pt.emb-japan.go.jp/estudarnojapao.html#bolsas

問い合わせ先:213 110 560 / cultural@embjapao.pt (大使館広報文化班)

 

 

 

(実施報告)

 

【新井辰夫・在ポルトガル日本大使館公使による講演会「日本のポップカルチャー」】

 

1月18日(水)、ポルト大学文学部において、新井公使による「日本のポップカルチャー」をテーマとした講演が行われました。満員となった会場にはコスプレ姿の参加者も見られ、講演終了後には多くの質問が出されるなど、日本のポップカルチャーへの関心の高さが伺われる講演会となりました。

 

 

講演中の新井公使

 

講演に聞き入る参加者

 

 

【新井辰夫・在ポルトガル日本大使館公使による講演会「日本料理と日本における食習慣」】

 

1月24日(火)、リスボン・ホテル観光学校において、新井公使による「日本料理と日本における食習慣」をテーマとした講演が行われました。講演では、パワーポイントを用いて参加者に効果的に日本料理を印象付けることができました。講演終了後は、同校の学生を始めとする参加者が新井公使のもとを訪れ感謝の言葉を述べるなど、盛況のうちに講演会は終了しました。

 

 

講演中の新井公使

 

講演終了後
新井公使のもとを訪れる参加者

 

 

 

(3)領事班からのお知らせ

 

【2月20日は旅券の日】

 

1978年(明治11年)2月20日に「海外旅券規則」が外務省布達第1号として制定され、「旅券」という言葉が初めて法令上使われました。これを記念して生まれたのが、「旅券」の日です。皆様も大切な旅券(パスポート)の残存有効期限などを確認する日にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

【E-mail登録のお願い】

 

インターネットを閲覧することができる方で、まだ当館にE-mailアドレスを登録されていない方は、是非E-mailアドレスご登録ください。

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【在留届に関するお願い】

 

近年、海外で生活する日本人が急増し、このため海外で事件や事故等思わぬ災害に巻き込まれるケースが増加しています。万一、在留邦人の皆様がこのような事態に遭われた場合には、日本国大使館や総領事館は「在留届」を元に皆様の所在地や緊急連絡先又は日本国内の連絡先等を確認して援護活動を行っています。

当館でも、皆様に提出いただいた在留届により連絡先の把握を行い、大使館からの海外危険情報や広報文化活動などの情報提供、緊急時の連絡網整備、安否確認に役立てているところです。

 

このため、ポルトガル国内での転居、日本への帰国、他国に転出等、在留届の届け出事項に変更が生じた後、引き続きこの大使館便りをご覧の方は、速やかにその旨を下記領事班あてにE-mailにてご連絡ください。

 

また、皆様の友人・知人で「ポルトガルに居住しているが、まだ在留届を提出していない方」がおられましたら、届出を行うようご案内ください。

 

 

 

(4)その他

 

【当館領事業務へのご意見募集】

 

当館では、領事サービスの向上を図るため、皆様からのご意見を募集いたしております。どのような些細な事柄でも結構ですのでご意見・ご要望等があればお気軽に領事班にご連絡ください。