大使館便り第108号(平成24年3月)
平成24年 3月 1日
在ポルトガル日本国大使館
1.四宮大使からのメッセージ
3月、リスボンの春は、だいぶ近づいて来たようです。イベリア半島で多く見かけるアーモンドの木は、例年ポルトガルでも1月に南部のアルガルベ地方で咲き始め、徐々に北上してリスボンでも2月に盛りを迎えます。花の様子や枝振りが日本の「そめいよしの」に似ていて、一斉に咲いたアーモンドの花は、少し早めですが今年も日本の春を思い出させてくれました。
女子サッカーのアルガルベ・カップで、昨日なでしこジャパンが初戦を飾ったのは、嬉しいニュースでした。
先月も引き続き暖かい快晴の日が多かったのですが、月末にはテージョ川に濃霧のかかる朝もありました。船が霧笛で安全を確認しながら川を進む様子は、リスボンの冬の風物詩の一つと言っても良いでしょう。
かつて16世紀の中葉、日本にまで到達したポルトガル人達は、多くがここから出港しています。東洋進出の過程で、ポルトガルの船舶はインド、中国、日本だけでなく、多くのアジア諸国と接触しました。当地で行われた昨年の韓国とポルトガルとの国交樹立50周年の記念行事でも、16世紀の両国の接触の歴史が語られました。また、先月には、タイとポルトガルとの国交樹立500周年の記念行事にタイ王室の王女殿下がご来訪されるなど、両国の歴史的関係の深さを印象づける行事もありました。また、インドネシア大使によれば、インドネシア語に葡語が起源の単語が2000以上もあるそうです。改めて、ポルトガルとアジアとの強い歴史的関係を感じます。
さて、今月で東日本大震災から1年になります。未曾有の大災害に遭遇しても、秩序を保ち相互に協力して復興に立ち向かう日本人の姿は、ポルトガルを含め、世界中の人々に強い印象を与えました。厳しい状況であるが故に、日本的な価値感が見直され、国外からも日本への同情と評価が見られました。
今月11日の一周年記念日には、大使館でも当国の方々からこの災害の際に受けたご協力や励ましに感謝し、災害の実情と復興の努力などについて知っていただくための写真展を開催する予定です。また、1755年の大地震と大津波の経験を持つリスボンにおいて、この機会に、自然災害への備えを共に考えるセミナーを両国の専門化を招いて開催します。(詳細は下記ご参照。)自然災害への対策の面でも両国の協力関係が深まり、双方の社会にとって意味のある交流が出来ればと願います。
他方、この国の財政問題について、先月行われたトロイカ調査団の査定結果は当国政府の努力を評価するもので、今期の財政支援も行われる見込みです。しかし、国内だけでなく欧州などの景気低迷は増税努力の効果を削減しつつあるようにも見えます。さらに、1月の長期国債の格付け引き下げ以来、右国債の利率が高止まりしていることで、政府支出の削減努力にもかかわらず、今後の債務支払いが再び財政を圧迫していくとの懸念は増大しています。当国の国民が緊縮財政の負担に耐える姿は印象的ですが、今後の状況は決して容易でないかもしれません。引き続き動向を注視していきたいと思っています。
時節柄、皆様にはご自愛のほどをお祈り申し上げます。
2.大使館からのお知らせ
(1)総政務・経済班からのお知らせ
【東日本大震災追悼・復興行事の開催】
来る3月11日、昨年、我が国の東北地方を中心に未曾有の被害をもたらした大地震,津波、そして原子力発電所の事故から一年を迎えます。震災後一年を経た今日、被災地住民はもとより、日本国民・政府による懸命な努力と国際社会の支援により徐々に復興しつつあります。この震災は、改めて地震、津波に対する脅威を再認識すると共に、諸外国・国民から頂いた支援、暖かなお見舞い、連帯のメッセージを通じて、日本国民にとり、世界各国との友好関係のすばらしさを再発見する機会ともなりました。
つきましては、日本政府は、被災者のご冥福をお祈りすると共に、日本国民、政府として、暖かな励ましを頂いた世界各国の政府・国民に対して感謝の念をお伝えし、これまでの復興状況を報告するため、一周年追悼・復興行事を行うこととなりました。
ここポルトガルでは、以下の通り、3月11日(日)に、リスボン市のフォス宮で開催致します。その際、防災庁の協力を得て、復興写真展及び我が国の地震・津波に対する防災技術及び今回の大震災の教訓をポルトガルの皆様に紹介するため、東京大学総合防災情報研究センター長である田中淳教授の参加を得て、日ポルトガル防災セミナーも開催いたします。多くの方々のご参加をお待ちしております。
日時:2012年3月11日(日) 12:00~16:30
(写真展は18:00まで)
場所:リスボン市レスタウラドーレス広場フォス宮
住所:Praça dos Restauradores, 1250 Lisboa
プログラム:
第1部 12:00~13:30
レセプション
四宮大使挨拶
復興写真展、DVD上映
第2部 14:00~16:30
日本・ポルトガル防災セミナー
「地震・津波・日本とポルトガルの経験」
講演:田中 敦 東京大学総合防災情報研究センター所長(教授)
講演:カルロス・ソウザ・オリヴェイラ リスボン工科大学教授
モデレーター:ジョゼ・オリヴェイラ 防災庁
(出席ご希望の方は、cultual@embjapao.pt まで登録いただければ幸いです。)
【ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)の臨時閣僚会合】
今般新たにリスボン市に設置された本部(ペナフィエル伯宮殿・旧公共事業省庁舎)でCPLP臨時閣僚会合が開催され、ポルタス外相をはじめとするCPLP加盟8ヵ国外相の他、カヴァコ・シルヴァ大統領、コエーリョ首相らが出席しました。
カヴァコ・シルヴァ大統領はスピーチを通じて、CPLPの基本原則は「自由」「民主主義」「人権」「経済社会開発」に基づくべきであるとし、国際社会において信頼性を高めているCPLPの実績について言及。また、コエーリョ首相は、各国リーダーによる指導力発揮が重要であると述べ、ポルタス外相は、4大陸にまたがり、世界で6番目に話者人口が多いポルトガル語を通じたビジネス拡大の可能性に期待すると述べました。
【配電公社RENの売却先決定】
昨年末のEDP(電力公社)民営化に続き、政府はRENの政府保有株式40%の内、中国企業(25%)及びオマーン企業(15%)に各々売却する決定を発表し、22日に署名式が行われました。残る11.1%の政府保有株式については、市場の条件が整い次第売却される予定です。今後は、ポルトガル航空(TAP)、空港公団(ANA)、郵便公社(CTT)、ポルトガル鉄道(CP)、石油公社(GALP)等の民営化が進められることになっています。
【米格付け会社ムーディーズによるポルトガル長期国債の格下げ】
ムーディーズ社は、ポルトガルを含む欧州6ヵ国の長期国債の格下げを発表しました。ポルトガルは1段階格下げ(Ba2→Ba3)、投機的水準のまま変わらず。同社は今次格下げの理由として、当初予測よりも長引く深刻な景気後退(国内的要因),及びギリシャが債務不履行に陥った場合の影響(国外的要因)等を挙げています。
大手格付け会社による当国長期国債の格付け(2月末現在)
格付け | 見通し | |
フィッチ | BB+ (2011.11.24) | ネガティヴ |
ムーディーズ | Ba3 (2012. 2.13) | ネガティヴ |
S&P | BB (2012. 1.13) | ネガティヴ |
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(出典:ポルトガル国庫公債管理庁(JDCP)ホームページ |
【2011年第4四半期の失業率】
国立統計院(INE)は、2011年第4四半期の失業率に関し、前期比1.6ポイント増となる過去最悪の14.0%(男性13.9%;女性14.1%)であったと発表しました。さらに15~24歳までの若年失業率も前期比5.4ポイント増の35.4%で悪化が続いています。なお、2011年の平均失業率は12.7%(前年比1.6ポイント増)。
【トロイカ調査団による第3回四半期定期評価作業の結果発表】
先月28日、ガスパール財務相は、トロイカ調査団による第3回四半期定期評価作業が成功裏に終わり、第4回目となる対ポルトガル融資(146億ユーロ)が事実上承認された旨記者会見で明らかにしました。2011年の財政赤字(対GDP比)は、銀行年金基金の社会保障費への移転等により、目標値5.9%を大幅に上回る4.0%となりましたが、本年の経済成長率は▲3.3%へ下方修正、失業率も14.5%程度まで悪化するとの見通しも合わせて発表。同財務相は、2012年の財政赤字(対GDP比)目標である4.5%の達成に向け引き続き努力すると改めて述べました。
(2)広報・文化班からのお知らせ
【ポルトガル現代建築展「Tradition is Innovation」】
日本人建築家志岐豊氏他の主催により、ポルトガル現代建築展「Tradition is Innovation」が、以下の日程で開催されています。詳細は下記までお問い合わせください。
日時:2月11(土)~3月9日(金) 月曜~金曜 10:00~18:00
会場:Ordem dos arquitectos - Secção Regional Sul
住所:Travessa do Carvalho nº 23, 1249-003 Lisboa
問い合わせ先:cultural@embjapao.pt
【「2012リスボン観光フェア」への参加】
当館は、以下の日程で開催される「2012リスボン国際観光フェア」(BTL)に「日本スペース」を出展します。「日本スペース」では、来場者に対し日本に関する様々な観光情報の提供、併せて各種日本文化の紹介を行います。詳細については下記までお問い合わせください。
日時:2月29(水)~3月4日(日)
会場:リスボン国際見本市会場(FIL)
住所:Rua do Bojador - Parque das Nações, 1998-010 Lisboa
問い合わせ先:213 110 560 / cultural@embjapao.pt (大使館広報文化班)
【講演会「Arquitectura e Cultura no Japão」】
ポルトのルジアダ大学において、建築家の伊藤廉氏による講演会「Arquitectura e Cultura no Japão」が以下の通り開催されます。詳細については下記までお問い合わせください。なお、講演はポルトガル語で行われます。
日時:3月5日 18:00~
会場:Universidade Lusíada do Porto, Auditório M3
住所:Rua Dr. Lopo de Carvalho, 4369-006 Porto
入場料:無料
問い合わせ先:225 570 800 / info@por.ulusiada.pt
【写真展「Jardins Japoneses」】
ポルトガルの写真家グループ“Equivalentes - Associacao Cultural”の主催により、以下の日程でJosé Reis氏による写真展「Jardins Japoneses」が開催されます。詳細については下記をご参照下さい。
日時:3月8(木)~4月7日(土)
※火曜~金曜 17:00~20:00、土曜 15:00~19:00
会場:Av. Almirante Reis 74, Lisboa
【東日本大震災メモリアルイベント「Contigo Japão」】
熱海市の姉妹都市であるカスカイス市において、ポルトガル日本友好協会主催、及びカスカイス市他の協力により、東日本大震災一周年イベント「Contigo Japao」が以下の通り開催されます。同イベントでは、各種展示の他、メモリアルマラソンや武道演武などが行われる予定です。詳細については下記までご連絡下さい。
日時:3月10日(土)、11日(日)
会場:10日 Pavilhão da Quinta dos Lombos 、他
11日 Marina de Cascais、Baía de Cascais 、他
プログラム:
10日 武道演武(15:00~)、
第17回Festival Internacional de Artes Marciais(17:00~)
11日 メモリアルマラソン(10:00~)、
メモリアルボートレース(15:00~)
問い合わせ先:96 471 2096 / aapjgeral@yahoo.com
【折り紙ワークショップの開催】
在ポルトガル日本国大使館主催により、以下の日程で折り紙ワークショップが開催されます(要事前申込)。詳細については下記までお問い合わせ下さい。
日時:3月15(木)、16(金)、19(月)、20日(火)
※15、16日は小学校教師向け、19、20日は一般向け
会場:在ポルトガル日本大使館 多目的ホール
住所:Av. da Liberdade, No 245-6º, 1269-033 Lisboa
入場料:無料
問い合わせ先:213 110 560 / cultural@embjapao.pt (大使館広報文化班)
【「Iberanime 2012」】
マンガの展示・ワークショップ、折り紙、コスプレ、その他アニメ・カラオケコンクールなど広く日本のポップカルチャーにテーマを当てたイベント「Iberanime 2012」が以下の通り開催されます。プログラム・チケット購入等詳細については下記連絡先にご確認下さい。
日時:3月17日(土)、18日(日)
会場:LX Factory
住所:Rua Rodrigues de Faria 103, 1300-501 Lisboa
問い合わせ先:214 269 710
URL:http://www.iberanime.com/pt/
チケット購入:http://www.ticketline.pt
【「リスボンアニメ映画祭 -Monstra-」】
以下の日程で、「リスボンアニメ映画祭 -Monstra-」が開催されます。押井守監督による「Ghost in the Shell」他日本の作品も上映の予定です。プログラム等詳細については下記をご参照下さい。
日時:3月19日(月)~25日(日)
会場:Cinema S. Jorge
住所:Avenida da Liberdade nº 175, 1250-141 Lisboa
問い合わせ先:918 453 750 , 918 682 115/
producao@monstrafestival.com,festival@monstrafestival.com
【日本語・日本文化関連分野の文部省奨学生募集】
文部科学省は、日本語・日本文化関連分野を専攻するポルトガル人留学生を募集します。応募締切りは3月8日(木)、詳細については下記サイトを参照、もしくは大使館広報文化班までお問い合わせ下さい。
URL:https://www.pt.emb-japan.go.jp/estudarnojapao.html#bolsas
問い合わせ先:213 110 560 / cultural@embjapao.pt(大使館広報文化班)
【漫画誌「BANZAI」の創刊】
日本のポップカルチャー愛好団体「NCreatures」により、昨年11月、漫画誌「BANZAI」(四半期刊)が創刊されました。同誌は、デンマークやスウェーデンのマンガ誌と提携し、国外の作者の作品なども掲載しています。詳細については下記サイトをご参照下さい。
(3)領事班からのお知らせ
【PSPでは詐欺メールに注意を呼びかけ】
2月14日、PSP(治安警察庁)本部では、児童ポルノ関連のサイトにアクセスした過料として100€の支払いを求める、PSPのロゴ入りの偽メールに注意するよう呼びかけています。ご注意ください。
【カージャックや短時間誘拐事件の増加】
カージャックや運転手を監禁し,クレジットカード等で現金を引き出しさせる「短時間誘拐事件」が増加しています。
犯人グループが事前に狙う車を選定しているという点である程度計画的な犯行で、高級車が狙われやすく、高級レストランやカジノなどで乗り込む状況を把握され、目撃者が少ない現場で犯行に及ぶ傾向があると言われています。
単独で運転する場合が被害者となりやすいとも言われていますので,車両利用の際は、周囲に十分に注意をするようにしてください。
【E-mail登録のお願い】
インターネットを閲覧することができる方で、まだ当館にE-mailアドレスを登録されていない方は、是非E-mailアドレスご登録ください。
E-mailを登録していただきますと、大使館便りをE-mailで受け取ることができるほか、イベントの告知や緊急情報等、大使館からの様々なお知らせもE-mailにてお受取になれますので、E-mailアドレスの登録をお奨めします。
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【在留届に関するお願い】
近年、海外で生活する日本人が急増し、このため海外で事件や事故等思わぬ災害に巻き込まれるケースが増加しています。万一、在留邦人の皆様がこのような事態に遭われた場合には、日本国大使館や総領事館は「在留届」を元に皆様の所在地や緊急連絡先又は日本国内の連絡先等を確認して援護活動を行っています。
当館でも、皆様に提出いただいた在留届により連絡先の把握を行い、大使館からの海外危険情報や広報文化活動などの情報提供、緊急時の連絡網整備、安否確認に役立てているところです。
このため、ポルトガル国内での転居、日本への帰国、他国に転出等、在留届の届け出事項に変更が生じた後、引き続きこの大使館便りをご覧の方は、速やかにその旨を下記領事班あてにE-mailにてご連絡ください。
また、皆様の友人・知人で「ポルトガルに居住しているが、まだ在留届を提出していない方」がおられましたら、届出を行うようご案内ください。
(4)その他
【女子サッカー「アルガルヴェ杯」国際大会の開催】
女子サッカーの国際大会「アルガルヴェ杯」が、2月29日(水)から3月7日(水)までの間当国アルガルヴェ地方各地で開催されています。世界中から日本、ポルトガルを含む全12カ国の代表チームが参加し優勝を競います。日本チームの試合日程は下記の通りとなっていますので、皆さんもお知り合い、ご家族をお誘い合わせの上“なでしこジャパン”を応援してみませんか。詳細については、下記ポルトガルサッカー連盟サイトにリンクされたE-Mailまでお問い合わせ下さい。
なお、試合は、決勝戦を含め全て入場無料であり、直接会場までお出かけ下さい。
日本チームの対戦日程
1.2月29日(水) 日本 対 デンマーク (2-1 勝利)
(於:Lagoa市Parchal・Estádio Municipal Bela Vista)
2.3月2日(金) ノルウェー 対 日本 12:10~
(於:Lagoa市Parchal・Estádio Municipal Bela Vista)
3.3月5日(月) 日本 対 アメリカ 14:10~
(於:Faro市・Estádio Algarve)
4.3月7日(水) 順位決定戦 未定
(於:Faro市・Estádio Algarve 他)
※7日は、各順位決定戦がアルガルヴェ各地で開催。
【当館領事業務へのご意見募集】
当館では、領事サービスの向上を図るため、皆様からのご意見を募集いたしております。どのような些細な事柄でも結構ですのでご意見・ご要望等があればお気軽に領事班にご連絡ください。