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平成27年 1月 5日
1.東大使からのメッセージ
2015年元旦、リスボンでは、晴天の下、美しい「初日の出」を臨むことができ幸先のよい新年のスタートとなりました。 新年を迎えるに当たり、皆様には謹んで御挨拶申し上げます。
さて、「2014年」は、我が国にとっても、ポルトガルにとっても、非常に良い年であったと思います。
特に、ポルトガルは、ここ数年、財政・経済危機克服のため「緊縮政策」等に真剣に取り組んできましたが、「2014年」はポルトガルにとって、2011年から始まった「トロイカ支援」が終了し市場復帰を果たした年でもあり、新たなスタートの年になったのではないかと思います。
「2014年」は、日本とポルトガルの二国間関係においても、重要な節目の年となりました。5月、安倍晋三総理大臣がポルトガルを訪問し、日本の現職総理大臣による初めての当国訪問として、歴史に残る画期的な訪問となりました。 安倍総理大臣はパッソス・コエーリョ首相と首脳会談を行い、多岐に亘る議題について掘り下げた議論を行いました。私自身、首脳会談に同席し、両首脳の熱のこもったやりとりに強い印象を受けました。 この訪問では日本とポルトガルの種子島以来470年以上の永きにわたる歴史的な紐帯を確認するとともに、政治・安全保障面では、今後の両国間の関係を発展させていく基盤として、両国がグローバルに開かれた「海洋国家」であり、民主主義を初め基本的な価値と原則を共有していることを確認しました。経済面では、ポルトガルが「トロイカ支援」から「条件なしの卒業」を果たすことを見越して、日本と貿易・投資の促進に本格的に取り組む環境が整ったとの認識の下、様々な交流の方策で一致しました。また、相互理解の一層の促進のために、文化・学術・人的交流を一層進めて行くことの重要性が強調されました。 両首脳は二国間関係に留まることなく、より幅広い枠組みで協力を構築していくことを謳いました。ひとつは、日本と欧州全体との関係です。またもうひとつは、日本とポルトガル語圏共同体(CPLP)諸国における協力関係の強化です。 安倍総理のポルトガル訪問により、470年以上続く日本とポルトガルの二国間関係は新たな段階に入ったと言えましょう。。
また、「2014年」は日本とCPLPとの関係にとっても新たな局面が開かれたという意味で歴史を画する年となりました。5月2日、安倍総理は上記首脳会談において、日本の「CPLPへのオブザーバー参加」の意図表明をされました。その後リスボンに所在するCPLP事務局への「加盟申請手続き」や全てのCPLP諸国の同意取り付けを行い、7月23日に東ティモールで開催されたCPLP首脳会合にて、晴れて、「日本のCPLPへのオブザーバー参加」が承認されました。この間、CPLP事務局、ポルトガル政府からの全面的なバックアップを得た他、今回のCPLPサミットの主催国で今後2年間「CPLP議長国」を務める東ティモールをはじめCPLP各国(ブラジル、アンゴラ、モザンビーク、カーボ・べルデ、ギニアビサウ、サントメ・プリンシペ)から日本とCPLP各国との関係強化について熱い期待が寄せられました。その後、10月に実施されたサントメ・プリンシペ議会選挙へ在ポルトガル日本国大使館から選挙監視要員派遣を行ったほか、同じく10月にジェトロ・ビジネスミッションでポルトガルを訪問した日本企業と「CPLPビジネス連盟」加盟企業との初めての直接コンタクトが実現しました。日本とCPLPとの交流が進み始めたことは大変喜ばしいことです。
「2015年」は、これらの協力の具体化を進めつつ、日ポルトガル関係が「新たな段階」に入り、政治・経済・文化等あらゆる面で両国関係を更に強化・深化させる年になると考えます。 まずは、本年第1四半期に予定されるパッソス・コエーリョ首相の日本公式訪問に向けた、重要な準備過程に入ることになります。 昨年の「安倍総理ポルトガル訪問をフォローアップ」し、「2015年」の両国関係を次のように「展望」することができると考えます。
○政治面のハイレベルの交流 「2015年」の最大のハイライトは、第1四半期に予定されているパッソス・コェーリョ首相の訪日ですが、昨年も日ポルトガル二国間関係で、政治面での高いレベルの交流が進みました。 安倍総理の訪問後、両国間では、6月のアスンサォン・クリスタス農業・海洋大臣の訪日、7月の稲田内閣府特命担当大臣(当時)、衆議院憲法審査会一行、8月の衆議院赤松副議長(当時)一行のポルトガル訪問、9月に日本で開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」出席のための、ベレーザ・シャンパリモー財団理事長の訪日、11月のフラスキーリョ・ポルトガル投資貿易振興庁(AICEP)長官の訪日等のハイレベルの人的往来が続き、日本とポルトガルの交流はより活発になってきています。 「2015年」においても、パッソス・コェーリョ首相の訪日をはじめ、ポルトガル日本友好議連関係者の訪日や3月の「第3回国連防災世界会議」(開催地:仙台)へのハイレベルでの出席、第2回「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」への出席者の確保や6月にリスボンで開催が予定されている「ブルーウィーク」へのハイレベルでの出席等を実現することによって、政治面での高いレベルでの交流を図っていきたいと考えています。 特に、安倍総理訪問に際し、両首脳は、政治・安全保障面では、今後の両国間の関係を発展させていく基盤として、両国がグローバルに開かれた「海洋国家」であり、民主主義をはじめ基本的な価値と原則を共有していることを確認しました。このことを踏まえ、本年6月に、リスボンにおいて開催が予定されている海洋会議「ブルーウィーク」の機会に、共に「海洋国家」として、今後いかなる協力が可能か具体的な検討を行う契機としたいと考えています。
○経済交流の促進 (貿易・投資促進、観光促進) 経済面では、上記のとおり、ポルトガルから6月にアスンサォン・クリスタス農業・海洋大臣が訪日、11月にはフラスキーリョAICEP長官が訪日して精力的に会談・視察し、今後の両国間の貿易・投資促進策について検討が行われました。
またビジネスの分野においても交流進展が見られました。日本企業による新規投資(「丸紅」が一昨年のポルトガル電力市場への本格参入に続き、昨年はポルトガルでの水道事業への参入、「カゴメ」がポルトガルのトマトの生産性向上を図ることを目的として「研究センター」設置のための投資、「トヨタ・カエターノ社」のランドクルーザー製造ライン新設のための投資、「三菱ふそう・トラック」の生産拡大のための投資等)や、10月のジェトロ・ビジネスミッションによる在欧州日本企業関係者総勢20名以上のポルトガル訪問は、今後の日本とポルトガルの経済関係の更なる発展を期待させるものです。 特に、経済分野においては、上記の最近の進展を大使館としても更に後押しするため「日本企業支援」を更に強化いたします。また、昨年「豚肉」についてはポルトガルから日本への輸入が解禁されましたが、実際の輸出がスムースに行われるよう支援するとともに、現存の貿易促進上の課題(さくらんぼ、鶏肉の輸入規制等)に対処するための方策や、農産品(ワイン、チーズ、オリーブオイル、ハチミツ等)の輸出促進策等について、AICEP、ポルトガルワイン委員会(VINI)をはじめ関係者ともよく話し合い、具体的な方策を考え、実現していくよう努めたく存じます。以て両国の「課題」を共に克服しつつ日本とポルトガルの双方が「ウィン・ウィン」の関係を築けるよう努力致します。 また、「和食」がUNESCOの無形文化財指定を得たこと、ポルトガルにおいても「寿司ブーム」が到来していることもあり、「和食」にまつわる日本の産品(日本米、日本酒、和牛、しょうゆ等調味料、日本産ウィスキー、ワイン等)のポルトガルへの輸出促進の可能性についても検討して参りたく存じます。 更に、現在、両国間の旅行者の往来は、日本からは約6万人、ボルトガルからは約1万人に留まっていることから、この活性化の第一歩として2月にはリスボンにおいて「観光セミナー」を開催する予定です。
また、上記のとおり、昨年10月のジェトロ・ビジネスミッションの来訪の機会に、日本企業と「CPLPビジネス連盟」加盟企業との初めてのコンタクトが実現したことを踏まえ、今後、「CPLPビジネス連盟」加盟企業がCPLP諸国(特にアフリカ諸国)に持っている「人脈」、ビジネスの「ノウハウ」と日本企業が比較優位をもつ最新のテクノロジーや「改善運動」等のノウハウが「協働」するプロジェクトが実現するよう、大使館としても協力・支援して参ります。
○文化・学術交流の促進 文化・学術交流では、当館事業として昨年10月にポルトガル外務省と共催で講演・討論会「コロキアム:日本・ポルトガル・EU協力」を実施し、日本、ポルトガル、欧州の政治、経済、文化面での協力に焦点を当てたセミナーを開催しました。この「コロキアム」には、ルイ・マシェッテ外務大臣、ブルーノ・マサンエス外務副大臣をはじめ、高名なパネリストの皆様がこの行事のためにご参集下さいました。また、同「コロキアム」に際して、岸田文雄外務大臣よりメッセージが寄せられました。同「コロキアム」は安倍総理のポルトガル訪問のフォローアップとして、また今後の日本とポルトガル、日本と欧州との関係を一層発展させていく上で、極めて意義深いものとなりました。上記のジェトロ・ビジネスミッションとしてポルトガルに来訪した総勢20名以上の我が国民間企業の方々も、この「コロキアム」に参加されました。 この「コロキアム:日本・ポルトガル・EU協力」においては、安倍総理のポルトガル訪問によって高まった両国間の協力強化の気運を活かし、両国の交流を一層高い次元へと発展させていく多様で斬新なアイデアが提示されました。
文化面では、更に、6月にベレン地区にて開催した第4回「日本祭り」は大盛況でした。また、グルベンキアン財団では、7月に稲田内閣府特命担当大臣(当時)がクールジャパンについて講演を行い大好評を博し、更に10月から12月まで日本を代表する書家作品91点を展示する「日本の書展」が高い評価を得て開催される等、幅広い文化交流事業を実施しました。 種子島以来470年という長きにわたる日本ポルトガル交流を振り返ると共に,相互理解の一層の増進と未来に向けての両国関係の緊密化を図るため,昨年に引き続き「2015年」も「日本祭り」や「映画祭」等様々な文化行事を企画して参ります。
また、両国間で8組ある姉妹都市及び国際友好都市間でも積極的な交流が進んでいます。昨年は、4月、「ポルト市」の姉妹都市である「長崎市」のサッカーチーム「Vファーレン」の代表者が「ポルト市」を訪問し、「FCポルト」と若手サッカー選手の交流・育成のための準備が始まっています。また、同じく4月には、「レイリア市」の姉妹都市である「徳島市」の姉妹都市交流の一環として、「徳島少年少女合唱団」の創立50周年を記念して、第一回ポルトガル公演が実施されました。そして、6月には、「熱海市長」一行が、姉妹都市の「カスカイス市」を訪問、「御神輿」を寄贈しました。なお、「熱海市長」一行は、リスボン「日本祭り」にも参加し、「御神輿」をかついで日本庭園を練り歩き「日本祭り」を盛り上げて頂きました。続く8月には、「大分市副市長」一行が姉妹都市の「アヴェイロ市」を訪問し、今後の両市間の交流強化の方策について協議が行われました。「2015年」もこれらの姉妹都市交流の促進を支援致したく存じます。 更に、上記のとおり、「2015年」は、3月に仙台において「第3回国連防災世界会議」の開催が予定されており、ポルトガル政府高官の出席が期待されています。特に、本年がリスボン大地震260周年、阪神・淡路大震災20周年に当たることから、リスボン市と兵庫県をはじめとして、防災分野での両国間の協力関係強化を図っていくことになります。
○幅広い枠組みでの協力 最後に、二国間関係を越えて、日本と欧州との間では、「日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)」と「日EU経済連携協定(EPA)」の交渉が進んでいます。特に包括的かつ高いレベルのEPAの実現は日本と欧州の双方に大きな利益をもたらすものであり、早期の交渉妥結と協定締結を期待したく存じます。また、CPLPとの関係においても、上記のとおり、CPLP諸国での民間企業間の協力に加え、教育・文化等の面で如何なる協力が可能か検討したいと考えております。
このように、「2015年」も、新たな決意で、政治、経済、文化など幅広い分野で日ポ関係の重層的な関係の一層の緊密化に尽力する所存ですので、皆様の御理解と御支援・御協力をお願い申し上げます。また、本年が、皆様一人ひとりにとって、実り多い素晴らしい一年となりますようお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせて頂ききます。
2.政治・経済関係
【第24回イベロアメリカ・サミット】 2014年12月8〜9日、カヴァコ・シルヴァ大統領は、パッソス・コエーリョ首相と共に、メキシコのベラクルスで開催された第24回イベロアメリカ・サミットに出席しました(マシェッテ外務大臣同行)。同大統領は、「ポルトガルは人的資源の開発に力を注いでおり、就学前教育ネットワークの拡大等、過去数十年にわたり教育への投資を行ってきた」と述べました。また、「教育、科学調査、イノベーションを連携させることは、社会的不平等や環境の持続可能性を促進すると同時に、富の創出を刺激する成長のエンジンを生む」と強調しました。
【パレスチナの国家承認に関する対政府勧告案の可決】 2014年12月12日、最大野党・社会党(PS)から提出されたパレスチナの国家承認に関する政府への勧告案について、連立与党(社会民主党(PSD)・民衆党(CDS/PP))と社会党の賛成多数により共和国議会で可決されました。可決後、マシェッテ外務大臣は、「政府は共和国議会の要請に留意し、イスラエル人とパレスチナ人が平和的かつ永続的に共存できるよう、パレスチナの国家承認を行う最も適切な時期を選ぶ意向である」と述べました。
3.その他のポルトガルの話題
2014年12月5日、柔道の世界大会「グランド・スラム東京」で、ポルトガルのテルマ・モンテイロ選手は、女子57Kg決勝戦に進出しました。モンテイロ選手は、日本の松本薫選手(ロンドン五輪金メダリスト)を相手に奮戦しましたが、最後は松本選手の横四方固めに敗れ、準優勝となりました。
4.広報・文化関係
(イベントのお知らせ) 【浮世絵-ポール・ウーゴ・ティランの版画・本・アルバムコレクション-】 ポール・ウーゴ・ティラン氏所蔵の浮世絵コレクション(版画・本・アルバム)の展示が以下のとおり開催されています。詳細は下記までお問い合わせ下さい。
日時:2014年11月28日(金)〜 2015年5月10日(日)10:00〜18:00(月曜閉館) 会場:Casa-Museu Anastácio Gonçalves 住所:Av. 5 de Outubro、 6/8 1050-055 LISBOA お問い合わせ:divulgacao@cmag.dgpc.pt、 21-3540823/21-3540923
【「神戸ビエンナーレ」国際コンペティションの作品募集】 神戸ビエンナーレ組織委員会及び神戸市の主催、兵庫県の共催により、下記のとおりフェスティバル「神戸ビエンナーレ」が開催され、同アートフェスティバル国際コンペティションでは世界各国より作品を募集しています。応募要領等詳細については下記URLをご参照下さい。
会期:2015年9月19日(土)〜11月23日(月)の66日間 会場・住所:詳細は、下記URLをご参照下さい。 URL:http://www.kobe-biennale.jp/
【シネマテッカにおける日本映画祭】 日本国大使館、国際交流基金、シネマテッカの共催により、以下のとおり日本映画祭が開催されます。詳細は下記までお問い合わせ下さい。
日時:3月(詳細日程は現在調整中) 会場:シネマテッカ(Cinemateca Portuguesa) 住所:Rua Barata Salgueiro、 39、1269-059 LISBOA 上映作品: ・「歓喜の歌」(松岡錠司;2008年) ・「めがね」(荻上直子;2007年) ・「ハッピーフライト」(矢口史靖;2008年) ・「エノケンのとび助冒険旅行」(中川信夫;1949年) ・「満員電車」(市川崑;1957年) お問い合わせ: cultural@lb.mofa.go.jp / 21 311 0560
[広報文化班からのお知らせ] 今後、当館主(共)催による日本関連イベント開催に当たり、大使館便りに加えてEメールによる招待状やイベント情報の送付を希望される方は、こちらまでご連絡下さい。
5.領事関係
【在留届に関するお願い】 近年、海外で生活する日本人が急増し、このため海外で事件や事故等思わぬ災害に巻き込まれるケースが増加しています。万一、在留邦人の皆様がこのような事態に遭われた場合には、日本国大使館や総領事館は「在留届」を基に皆様の所在地や緊急連絡先又は日本国内の連絡先等を確認して援護活動を行っています。 当館でも、皆様に提出いただいた在留届により連絡先の把握を行い、大使館からの海外危険情報や広報文化活動などの情報提供、緊急時の連絡網整備、安否確認に役立てているところです。 このため、ポルトガル国内での転居、日本への帰国、他国への転出等、在留届の届け出事項に変更が生じた後、引き続きこの大使館便りをご覧の方は、速やかにその旨を下記領事班あてにE-mailにてご連絡ください。 また、皆様の友人・知人で「ポルトガルに居住しているが、まだ在留届を提出していない方」がおられましたら、届出を行うようご案内ください。
【当館領事業務へのご意見募集】 当館では、領事サービスの向上を図るため、皆様からのご意見を募集いたしております。どのような些細な事柄でも結構ですので、ご意見・ご要望等があればお気軽に下記領事班あてにE-mailにてご連絡下さい。
在ポルトガル日本国大使館(領事班) (EMBAIXADA DO JAPÃO)
住 所:Avenida da Liberdade、245-6 1269-033 Lisboa T E L:21-311-0560 F A X:21-354-3975 E−mail:consular@lb.mofa.go.jp
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