大使館TOP領事情報>大使館便り(第136号)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成26年 7月 1日
在ポルトガル日本国大使館

 

1.東大使からのメッセージ

 

 皆様、御健勝にて御活躍のこととお喜び申し上げます。

 リスボンもここ数週間は本来の快晴が戻ってきており、このまま、夏の到来を迎えられればと願っています。

 

 最初に、6月21日の「フェスタ・ド・ジャパン」開催に際しましては、皆様の御協力を賜り、本当にありがとうございました。

 「フェスタ・ド・ジャパン」は、大使館とリスボン市等が共催で行う「日本祭り」で今年4回目を迎えました。市内のベレン地区にある「日本公園」には、昨年同様多くの来訪があり、大盛会の内に成功裡に終えることができました。この日の多くの公演の中で、日本から昨年に引き続いて立命館アジア太平洋大学(APU)の学生グループが、和太鼓の演奏や「よさこい踊り」を披露して、大変躍動的で迫力のある舞台は、喝采を浴びていました。

 また、熱海市から「御神輿」が来訪し、日本公園を元気よく練り歩き、「祭り」の雰囲気を一気に盛り上げて頂きました。この「御神輿」は、大変精巧なつくりで日本の工芸技術の素晴らしさにポルトガル人も感嘆の声を挙げていました。この「御神輿」は翌22日に、熱海市の姉妹都市である「カスカイス市」に寄贈され、寄贈式には、熱海市長、カスカイス市長とともに私も出席し、両市の交流事業にも参加致しました。

 なお、「カスカイス」市のポウザーダで在ポルトガルの13人の大使が「カスカイス市」で撮った写真の展示会「外交と写真展」が開催されており、私が撮った写真3点も展示されていますので、機会がありましたら是非御覧下さい。これは、「カスカイス市」650周年の記念行事として催されたものです。

 

 さて、先月のメッセージで「安倍総理のポルトガル訪問」について、今後詳しくお知らせする旨お約束しましたが、今回は、「シャンパリモー財団」訪問を御紹介したいと思います。

 安倍総理は、5月2日、空港到着直後にホテルに立ち寄ることなく、同財団を訪問して「現在のポルトガルの科学技術・研究や医療水準の高さ」を実感されました。また、この訪問に基づき、今後、学術的・知的交流を一層促進するとともに、最先端医療の分野等、科学面でのポルトガルとの協力の可能性を探求することが「共同コミュニケ」にも明記されました。

 「シャンパリモー財団」は、20世紀のポルトガルの大富豪・故アントニオ・ソメール・シャンパリモー氏 (1918-2004)の遺志により設立・運営されている、脳神経科学とガンの最先端医療研究施設です。世界中から気鋭の研究者を集めており、日本からも3名の研究者が脳神経科学の研究をされています。

 安倍総理は、ベレーザ理事長の案内で、財団の施設「シャンパリモー財団・未知の世界センター」(2010年10月開館)を視察しました。同「センター」は、テージョ川に面し、バスコダガマが世界に乗り出した「ベレンの塔」の大西洋側にあり、施設自体が、大西洋側から見ると大西洋に船出する船舶の形をしています。全館総ガラス張りで見通しが良く、安倍総理も窓から見えるテージョ川の美しさに感嘆しておられました。

 同施設は、本館のA棟と講堂・レストランのB棟からなり、その間を渡り廊下でつなげる構造になっています。総理は、A棟1階から、クリニック中庭を経由して、クリニックのキモセラピー(抗がん剤治療)棟に移動し、癌治療の世界最先端の医療機器を視察されました。同医療機器は、通常は27段階もかかる手術・治療の過程を数分で実施可能なケースもあるとのことで、欧州各地からこの手術を受けるため日帰りで患者が来訪する事例もあるそうです。また、キモセラピー棟は、癌患者及びその家族にとっても素晴らしい治療環境を備え、「癒しの空間」を構成しており、患者用の治療スペースが航空機のファースト・クラスをイメージした空間となっており、緑豊かなクリニック中庭と美しいテージョ川を望むことができます。また、キモセラピー棟では、テラスに出て、野外で治療を受けることも可能となっています。

 このようにクリニック棟は、世界最先端の技術、機材を備え、患者の「癒し」にも配慮した、世界でも最高水準の医療環境となっています。

 A棟2階は脳神経科学の研究棟で「オープン・ラボ」となっており、総理は、ここで日本人研究者3名 (野本謙作氏、村上誠祥氏、藤原輝史氏)に会われ、同財団の素晴らしさを確認するとともに、研究者を激励されました。同研究者によれば、同ラボの研究水準は極めて高く、素晴らしい研究環境で、窓が大きくテージョ川を臨めるスペースでは、研究の疲れを癒し、新しいアイデアも湧くとのことでした。

 B棟では、講堂前で、総理は、利根川進MIT教授にも会われました。利根川教授は、同日午前中に、他の2名のノーベル化学賞受賞者とともに同財団で開催されたシンポジウムに出席されていました。利根川教授は、シャンパリモー財団の科学評議会メンバーも務めておられ、同財団とは緊密な関係にあり、同財団の建物建設に当たっては、同教授が建築家を紹介されたとのことでした。安倍総理の訪問に合わせて、同教授を招待したベレーザ理事長の粋な計らいでもありました。

 このベレーザ理事長は、現在与党の社会民主党に属し国会副議長、保健大臣を歴任した方で、ポルトガル政界、社会の有力者でもあります。ベレーザ女史は、故アントニオ氏の遺言で指名されて、2004年、同財団の理事長に就任し、今日に至っています。

 また、余談ですが、上記講堂の巨大な大窓から大航海時代にバスコダガマが出航したとされる「ベレンの塔」が望めますが、この大窓のガラスは特殊ガラスで日本製(日プラ株式会社)との事で ここにも日本の高度な技術が息づき日本との協力関係を示すものとなっています。

 安倍総理は、同センターで、「ポルトガルに到着後、最初に訪れるのが先端医療科学の殿堂「シャンパリモー財団・未知の世界センター」であり、未来志向の両国関係の構築を象徴するようである。日本人の死因第1位である癌をはじめ日本も先端医療分野の研究に力を入れており、私の訪問を契機としてこうした分野でも両国間の協力関係の強化を期待する」旨述べられ、総理のポルトガル訪問のキックオフとして素晴らしいスタートとなりました。

 

 次号以降引き続き「安倍総理のポルトガル訪問」について、順次お知らせ致します。

 

 季節の変わり目にあたり、皆様にはご自愛の上御活躍頂きますようお願い申し上げます。

 

 

2.政治・経済関係

 

【「ポルトガルの日」(注)式典におけるカヴァコ・シルヴァ大統領の演説】

 6月10日、カヴァコ・シルヴァ大統領は当国北部グアルダ市で行われた「ポルトガルの日」式典で演説を行いました。同大統領は、ポルトガルは国際機関からの融資に伴う義務を果たし、去る5月にトロイカ支援を終了したと述べ、“トロイカ支援後”と呼ぶ新たな段階へ入ったことを強調しました。しかし、失業率は依然高水準であることから、政治家を中心に雇用創出を通じた失業対策へ取り組むよう求めました。

 (注)正式名称は「ポルトガル・カモンイス・ポルトガルコミュニティーの日」で、16世紀の大詩人カモンイスの命日にあたる。

 

【第12回トロイカ定期審査に関する政府発表】

 6月12日、アルブケルケ財務大臣は定例閣議後の記者会見で、憲法裁判所の違憲判決を巡る本年度予算への影響を考慮し、5月30日の違憲判決(公務員給与の引下げ等)を受けた代替案の決定を急がず、第12回トロイカ定期審査を経た最後の融資(26億ユーロ)も受領しない旨発表しました。同財務大臣は、市場での資金調達については現在完全に再開されており、ポルトガルは持続可能な資金調達アクセスを有している上、市場の突発的な混乱に備えた十分な予備資金も確保していると述べました。

 

 

3.広報・文化関係

 

(イベント)

【講演会「スイーツと友好親善でみんなハッピー…ポルトガルと日本の間でも」】

 在ポルトガル日本国大使館の藤村和広公使による講演会が、下記の通り開催されます。入場無料。詳細は,下記までお問い合わせ下さい。

 

日時:7月9日(水) 14:00〜15:30

会場:ポルト大学文学部Anfiteatro Nobre

住所:Via Panorâmica, 4150-564 Porto

お問い合わせ:rumi_sakamoto@clix.pt / higumami@gmail.com

 

 

【JAPAN TODAY(アヴァンカ国際映画祭内)】

 アヴァンカ国際映画祭内において、下記の通り、日本映画と日本文化関連イベントが行われます。同イベント内にて,日本映画3作品が上映されます。詳細は、下記までお問い合わせください

 

日時:7月23日(水)  23:00〜

お問い合わせ:cosmofestjapan@gmail.com

URL:http://www.cosmofestjapan.org/japan-today/

 

 

【2014年「日本の書展」ポルトガル展】

 「全国書美術振興会」、在ポルトガル日本国大使館及びグルベンキアン財団の共催により、「日本の書展」が開催されます。詳細は、下記までお問い合わせ下さい。

 

日時: 10月10日(金)〜 12月28日(日)

会場: グルベンキアン美術館

住所: Av. Berna 45 A, 1067-001 Lisboa

お問い合わせ: cultural@lb.mofa.go.jp / 21 311 0560(日本国大使館広報文化班)

 

 

【第二回日本語弁論大会】

 ポルトガル日本語教師連絡会議(日本語弁論大会実行委員会)の主催により、第二回日本語弁論大会が下記の通り開催されます。

 大会は、「初級」、「上級」、「特別クラス」の三部に分けて実施されます。詳細については、下記まで問い合わせ下さい。

 

日時: 11月2日(日) 午後

会場: ポルト市アルメイダ・ガレット図書館講堂

住所: Rua de D. Manuel II - Jardins do Palácio de Cristal, 4050-239 Porto

参加者募集期間: 2014年9月15日(月)〜10月15日(水)(予定)

お問い合わせ: jpspeechcontest@gmail.com / 939 790 111

URL: http://linguajaponesaemportugal.jimdo.com/

 

 

(報告)

【第4回「日本祭り」(Festa do Japão)の開催】

 6月21日、ベレン地区の日本公園において、第4回目となる「日本祭り」が日本国大使館・リスボン市・EGEAC・ポルトガル日本友好協会の共催により開催されました。今年もリスボン祭の一環として行われた「日本祭り」には大勢の市民が参加し、生け花・折り紙・書道・武道演武といった各種日本の伝統文化の紹介の他、今年は立命館アジア太平洋大学(APU)の伝統芸能サークル(和太鼓、よさこい踊り、吹奏楽、茶道部)やアニソン(アニメソング)グループ「アニメムモ」による公演、コスプレ、パラパラダンス、日本食屋台など一層盛りだくさんの内容で、大変な賑わいを見せました。

 また今回は、カスカイス市と姉妹都市提携を結ぶ熱海市から齊藤栄同市市長及び神輿愛好団体「伊豆山勢輿会」のメンバーが訪れ、飛び入りのポルトガル人を加えた担ぎ手が来場者の中を御神輿で練り歩き、参加者は日本の伝統的夏祭りさながらの雰囲気を存分に堪能しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ポルト市における立命館アジア太平洋大学(APU)の伝統芸能サークルによる公演】

 6月22日、日本国大使館、ポルト市、アルメイダ・ガレット市立図書館及び国際交流基金の共催により、同市のクリスタル宮(Palácio Cristal)庭園及び同園内のアルメイダ・ガレット図書館講堂において、立命館アジア太平洋大学(APU)の伝統芸能サークルによる公演が開催されました。

 庭園における屋外和太鼓公演では、和太鼓の見事な音が力強く響き渡る中園内を行き交う人が足を止め、講堂内に移ってのセッションでは、立ち見も出る程の多くの観客を前に吹奏楽を加えた演奏及びよさこい踊りの披露、さらには舞台上に観客を招いての和太鼓と踊りのワークショップ、その後茶道セレモニーで茶が振舞われるなど、日本とポルトガルの大変親密な交流の夕べとなりました。

 

 

 

 

 

 

 

【リスボン、シントラ及びカスカイス市における立命館アジア太平洋大学(APU)の伝統芸能サークルによる公演】

 6月20日リスボン市発見のモニュメント前広場、23日シントラ市王宮前ドナ・アメリア王妃広場、24日カスカイス市パウラ・レゴ美術館(Casa das Histórias Paula Rego)、25日ISCTE大学講堂それぞれの会場において、日本国大使館、各会場及び国際交流基金の共催により、立命館アジア太平洋大学(APU)の伝統芸能サークルによる公演が開催されました。

 各公演において、APUのメンバーは力強い演奏とのびのびとした踊りを披露し、会場によってはワークショップと茶道セレモニーも併せて実施されるなど、大変印象深い日本文化紹介と異文化交流のひと時となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【熱海市からカスカイス市への御神輿寄贈式】

 22日,カスカイス市庁舎において,カレイラス・カイスカイス市長,齊藤栄熱海市長を団長とする熱海国際交流協会及び伊豆山勢輿会の皆様と,東大使出席のもと熱海市からの御神輿寄贈式が執り行われました。式典では,高橋伊豆山勢輿会会長よりカレイラス・カスカイス市長に目録が手渡され,熱海市とカスカイス市間の姉妹都市交流の象徴として,貴重な御神輿が引き継がれました。カスカイス650周年にも新たな彩りを添える事業となりました。

 前日の21日に開催された「日本祭り」では,伊豆山勢輿会による指導を受け,ポルトガル人有志の皆さんが一緒に御神輿で会場を練り歩き,祭りの雰囲気を盛り上げました。

 御神輿は,9月末までサンドミンゴス・デ・ラナ市立図書館に展示される予定です。当館としても,日本から海を渡ってポルトガルの地に降り立った御神輿が,カスカイスの皆様に愛される存在となり,両都市間,両国間の交流がさらに促進されることを期待しています。

 

 

 

 

4.領事関係

 

【在留届に関するお願い】

 近年、海外で生活する日本人が急増し、このため海外で事件や事故等思わぬ災害に巻き込まれるケースが増加しています。万一、在留邦人の皆様がこのような事態に遭われた場合には、日本国大使館や総領事館は「在留届」を基に皆様の所在地や緊急連絡先又は日本国内の連絡先等を確認して援護活動を行っています。

 当館でも、皆様に提出いただいた在留届により連絡先の把握を行い、大使館からの海外危険情報や広報文化活動などの情報提供、緊急時の連絡網整備、安否確認に役立てているところです。

 このため、ポルトガル国内での転居日本への帰国他国への転出等、在留届の届け出事項に変更が生じた後、引き続きこの大使館便りをご覧の方は、速やかにその旨を下記領事班あてにE-mailにてご連絡ください。

 また、皆様の友人・知人で「ポルトガルに居住しているが、まだ在留届を提出していない方」がおられましたら、届出を行うようご案内ください。

 

 

【当館領事業務へのご意見募集】

 当館では、領事サービスの向上を図るため、皆様からのご意見を募集いたしております。どのような些細な事柄でも結構ですので、ご意見・ご要望等があればお気軽に下記領事班あてにE-mailにてご連絡下さい。

 

 

在ポルトガル日本国大使館(領事班)

(EMBAIXADA DO JAPÃO)

 

住   所:Avenida da Liberdade、245-6 1269-033 Lisboa

T E L:21-311-0560

F A X:21-354-3975

E−mail:consular@lb.mofa.go.jp