新美大使着任のご挨拶

平成29年11月7日
 在ポルトガル日本国大使館のホームページにようこそお越しくださいました。

 はじめまして。私は,2017年11月2日に駐ポルトガル日本国大使として着任しました新美潤です。ポルトガルに勤務するのは初めてですが,この国には若い頃から強い関心を抱いて参りました。出会いは中学時代にさかのぼります。当時サッカー部員だった私は,来日したベンフィカ・リスボンと日本代表の試合を国立競技場で観戦したのですが,エウゼビオをはじめとする名選手達の華麗なプレー,そして,サッカー雑誌で目にした,観衆で埋め尽くされたベンフィカの巨大なホームスタジアムとリスボンの美しい町並みは,私に強烈な印象を残しました。そんなこともあり,外務省に入省し,海外勤務に就いて,最初の休暇で訪れた国がポルトガルです。この度,そのポルトガルに勤務することとなり,本当に嬉しく思っております。

 さて,日本とポルトガルの関係は,皆様も御存知の通り,1543年,種子島への鉄砲伝来からはじまりました。ポルトガルは,日本に初めて西欧文明をもたらした国であり,西欧諸国の中で最も長い友好の歴史を持つ国であります。このため,ポルトガルは私たちにとって最も親しみのある国の1つではないでしょうか。

 このような豊かな歴史を背景に,両国間には様々なエピソードが積み重なり,大変に多くの方々が両国の友好協力関係に関わってこられたと承知しております。そのような中,この度,駐ポルトガル大使として,両国関係の一層の緊密化に向けて尽力できることを大変に嬉しく思います。

 特に,両国関係は近年急速に深化してきております。2014年5月には,現職総理として初となる,安倍総理大臣のポルトガル訪問が実現しました。また,翌2015年3月には,パッソス・コエーリョ首相(当時)の訪日が実現しました。日本とポルトガルは,共通の価値観を持ち,着実に協力関係を構築してきた素晴らしいパートナーです。そして,こうした両国関係を更に飛躍させていく上で,両首脳の相互訪問は大きな意義を持ったと言えるでしょう。事実,近年,両国関係は,政治,経済,文化,学術,スポーツ,姉妹都市,観光など,あらゆる面で急速に拡大してきております。

 また,2014年7月,日本はポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)のオブザーバーとなりましたが,ポルトガルを拠点として,ポルトガル語を軸にアフリカ,南米,アジアを見据えた協力が徐々に拡大しています。そして,国連事務総長にはグテーレス元首相が就任しており,国際場裡における協力も進展しています。経済面においても,日本企業の対ポルトガル投資は順調な進展を見せており,それぞれポルトガル社会の様々な場面で重要な役割を担っておられます。こうした経済関係は,本年大枠合意が実現した,日・EU経済連携協定により,将来的に一層の飛躍が期待されています。また,本年,日本祭りへの来場者数は,遂に1万人を大きく超える規模に至ったと伺っておりますが,日本食をはじめ,日本の伝統文化,ポップカルチャー等のさまざまな分野に,ポルトガル国内での関心が高まっていることは喜ばしい限りです。
 こうした中,日本国大使として,両国関係を着実に進展させるべく,積極的な対話を通じて相互理解を促進していきたいと思います。日本の皆様にはポルトガルの魅力を,そしてポルトガルの皆様には日本の魅力をしっかりと伝えていくことが大切でしょう。また,経済分野においては,両国が「ウィン・ウィン」の関係を築き,共に両国の「課題」を克服できるよう議論を尽くし,また,そのための環境を整備することが重要でしょう。他方,近年,欧州においてもテロ事件の発生が懸念されていますが,邦人の皆様が安心して暮らせるよう最善を尽くさなければならないことも,肝に命じております。

 こうした取り組みに全力を尽くして参る所存ですので,是非,皆様のお知恵と御支援をお借りしたいと思います。また,そのためにも、大使館が皆様にとって開かれた存在であるように心がけて行きます。どうぞ、ご質問、ご意見、ご要望など、大使館へお気軽にご連絡下さい。

 皆様と近くお会いできる機会があることを楽しみにしております。