大使館便り第106号(平成24年1月)
平成24年 1月 4日
在ポルトガル日本国大使館
1.四宮大使からのメッセージ
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
ポルトガル在勤も1年を超え、当地で2回目の新年を迎えました。
日本は厳しい状況が続いていますが、困難を乗り越える祖国の努力に、異国にある我々も少しでもお役に立てないかと願いつつ、大使館の活動を続けてきました。
ポルトガルでも東日本大震災のあと、大統領や政府、国会から見知らぬ庶民、マスコミに至るまで、多くの方々から日本への励ましと、日本人の対応に賞賛の言葉をたくさん頂きました。地元の人々による日本支援の活動も、盛んに行われました。
他方、昨年はポルトガルも財政危機の克服に苦闘し、3月にはEUなどの財政支援を求める事態に陥ったのは、ご存じの通りです。その後の総選挙で生まれた新政権は、財政再建のため緊縮政策をさらに進め、経済の競争力強化のため経済、社会制度の改革に着手しています。
当面はマイナス成長と失業の増加が続きますが、国民は負担を受け入れる覚悟をしているように見えます。厳しい運命も甘受する国民性だけでなく、状況を冷静に判断する知恵も感じさせられます。ただし、この忍耐がいつまで続くのか、目に見える成果が出るまでの時間との競争になるでしょう。
日本との関係では、先方の期待の大きさにもかかわらず、双方の経済状況もあり、日本からの投資はなかなか進みませんでした。しかし、ポルトガル向けの欧州基金(EFSF)に日本も応分の融資を行い、また投資環境の整備のため「二重課税防止条約」に先日署名を終えたことは、ポルトガルから感謝されています。
文化交流では、伝統的な日本文化だけでなく、ポップカルチャーへの若者の関心の高さに改めて強い印象を受けました。
ポルトガルの国民歌謡「ファド」が、先月、当国14番目の世界遺産に登録されたのは嬉しいニュースでした。観光の面でも、この国の文化や自然、それに比較的良好な治安や物価などから順調だったようです。
日葡双方は多事多難の状況にありますが、両国間の協力と交流の促進で何が可能なのか見極めながら、引き続き関係発展に努めて参りたいと考えています。
新年に当たり、ご家族の皆様のご多幸とご健康をお祈り申し上げます。
2.大使館からのお知らせ
(1)総政務・経済班からのお知らせ
【日・ポルトガル租税条約の署名】
19日、日・ポルトガル租税条約(所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国とポルトガル共和国との間の条約)の署名式が当国外務省で行われ、日本側は四宮信隆在ポルトガル日本国特命全権大使,ポルトガル側はパウロ・ヌンシオ税務担当財務副大臣により署名されました(署名式には、ポルタス外相、フェラース在京ポルトガル大使らも出席)。
同日付けで当国外務省は、双方の国に居住する国民に対する二重課税の防止、及び両国の投資家に対し一層安定した透明性のある税制の枠組みを創設するものとする旨プレスリリースを発表。翌20日の当地各紙でも、右署名に関する報道がありました。
条約に署名を行う四宮大使と |
スピーチを行う四宮大使(中央はポルタス |
【コエーリョ首相のEU首脳会議出席】
コエーリョ首相は、8~9日にブリュッセルで開催されたEU首脳会議に出席。英国を除くEU26ヵ国で合意に達した新たな財政協定(構造的な財政赤字(対GDP比)を0.5%以内に抑制、右規定の憲法もしくは同水準の法律に導入等)について、同首相は会議後、欧州債務危機の解決に向けて最も透明性のある明確な方法であると述べました。また、英国の不参加に関し、27ヵ国による合意が得られていれば市場へのインパクトは一層強力なものとなったであろうが、今次合意を過小評価すべきではない旨強調しました。
【2011年第3四半期のGDP成長率(改定値)】
9日、国立統計院(INE)は本年第3四半期のGDP成長率(改定値)を発表し、前年同期比では速報値と同様▲1.7%に留めましたが、前期比では速報値の▲0.4%から▲0.6%へ下方修正しました。INEによると、内需が前期比で▲5.0%に達したことが大きな要因であると分析されています。四半期毎のGDP成長率の推移(%)は以下の通りです。
10/Q4 |
11/Q1 |
11/Q2 |
11/Q3 |
|
前年同期比 |
1.0 |
▲ 0.5 |
▲ 1.0 |
▲ 1.7 |
前期比 |
▲ 0.4 |
▲ 0.6 |
▲ 0.2 |
▲ 0.6 |
(2)広報・文化班からのお知らせ
【exposição de Artes orientais における日本文化紹介】
ポルトガル・トルコ友好協会内にて「exposição de Artes orientais」が行なわれ、トルコ美術や食文化の紹介等のほかに、日本の書道、折り紙の紹介などの日本文化紹介コーナーも設けられる予定です。詳細については、下記連絡先にお問い合わせください。
日時:1月7日(土) 16:00~
会場:Associação de Amizade Luso-Turca
住所:Avenida Repubulica N.º49 2ºAndar, 1050-188 Lisboa
入場料:2ユーロ
問い合わせ先:213 012 064 / URL:http://www.turquiaportugal.com
【在ポルトガル日本大使館の新井公使による講演(於ポルト大学)】
ポルト大学において、新井公使による「日本ポップの魅力」をテーマとした講演会が下記の通り開催されます。詳細については、下記問い合わせ先までご連絡下さい。なお、講演はポルトガル語で行われます。
講演タイトル:「日本ポップの魅力」
日時:1月18日(水) 19:30~
会場:Faculdade de Letras da Universidade do Porto, Anfiteatro Nobre
住所:Via Panorâmica, s/n, 4150-564 Porto
入場料:無料
問い合わせ先:213 110 560 / cultural@embjapao.pt (大使館広報文化班)
【在ポルトガル日本大使館の新井公使による講演(於リスボン・ホテル観光学校)】
リスボン市の「リスボン・ホテル観光学校」において、新井公使による「日本料理と食習慣」をテーマとした講演会が下記の通り開催されます。詳細については現在調整中であり、下記までご連絡下さい。なお、講演はポルトガル語で行われます。
講演タイトル:「「日本料理と食習慣」」
日時:1月24日(火)
会場:Escola de Hotelaria e Turismo de Lisboa
住所:Rua Saraiva de Carvalho, nº 41, 1269-099 Lisboa
入場料:無料
問い合わせ先:213 110 560 / cultural@embjapao.pt (大使館広報文化班)
(実施報告)
【在ポルトガル日本大使館の新井公使による講演会「日本のポップカルチャー」】
11月29日(火)、カスカイス市のエストリル・ホテル観光専門学校において、新井公使による「日本のポップカルチャー」についての講演が行われました。講演では、パワーポイント画像を用いて参加者に効果的に日本文化を印象付けることができました。また、講演終了後には新井公使に対し参加者より今回の講演への感謝のコメントが寄せられました。
講演中の新井公使 |
メモを取り講演に聞き入る参加者 |
【「日本語能力試験」の開催】
12月4日(日)、国際交流基金と日本国際教育支援協会の主催による「日本語能力試験」(JLPT)がポルト大学において実施されました。本試験は今年でポルトガル開催第二回目を迎え、45名の日本語学習者が受験しました。なお、「日本語能力試験」は、引き続き来年もポルト市で実施される予定です。
【山本薩夫映画祭】
12月2日(金)から19日(月)まで、リスボン市のシネマテカにおいて、国際交流基金事業として山本薩夫映画祭が開催されました。映画祭では、「忍びの者」、「白い巨塔」など同監督の8作品が上映されました。
(3)領事班からのお知らせ
【E-mail登録のお願い】
インターネットを閲覧することができる方で、まだ当館にE-mailアドレスを登録されていない方は、是非E-mailアドレスご登録ください。
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【在留届に関するお願い】
近年、海外で生活する日本人が急増し、このため海外で事件や事故等思わぬ災害に巻き込まれるケースが増加しています。万一、在留邦人の皆様がこのような事態に遭われた場合には、日本国大使館や総領事館は「在留届」を元に皆様の所在地や緊急連絡先又は日本国内の連絡先等を確認して援護活動を行っています。
当館でも、皆様に提出いただいた在留届により連絡先の把握を行い、大使館からの海外危険情報や広報文化活動などの情報提供、緊急時の連絡網整備、安否確認に役立てているところです。
このため、ポルトガル国内での転居、日本への帰国、他国に転出等、在留届の届け出事項に変更が生じた後、引き続きこの大使館便りをご覧の方は、速やかにその旨を下記領事班あてにE-mailにてご連絡ください。
また、皆様の友人・知人で「ポルトガルに居住しているが、まだ在留届を提出していない方」がおられましたら、届出を行うようご案内ください。
(4)その他
【当館領事業務へのご意見募集】
当館では、領事サービスの向上を図るため、皆様からのご意見を募集いたしております。どのような些細な事柄でも結構ですのでご意見・ご要望等があればお気軽に領事班にご連絡ください。