大使館便り第116号(平成24年11月)
平成24年11月 2日
在ポルトガル日本国大使館
1.大使館からのお知らせ
(1)総政務・経済班からのお知らせ
【共和制樹立記念日式典におけるカヴァコ・シルヴァ大統領及びアントニオ・コスタ・リスボン市長の演説】
10月5日、共和制樹立記念日式典がコメルシオ広場に面する建物内パティオ・ダ・ガレーで催され、カヴァコ・シルヴァ大統領とアントニオ・コスタ・リスボン市長が各々演説を行いました。カヴァコ・シルヴァ大統領は、トロイカ合意履行による財政再建の重要性に加え、未来を見据えた行動が必要であると述べました。また、コスタ市長は、現在の経済危機克服に向け、欧州に対し積極的に働き掛ける意志が欠かせない旨強調しました。なお、コエーリョ首相は、同日スロバキアで開催されたEU結束政策友好諸国の首脳会議のため、本式典を欠席しました。
【ガスパール財務相のIMF・世銀総会への出席】
10月12日、東京で開催されたIMF・世銀総会に出席したガスパール財務相は、世銀主催のサイドイベント「ユーロと欧州:構造の強化」において、ポルトガルを含む欧州経済に関する演説を行いました。同相は,トロイカ(欧州委員会(EC)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF))から財政支援を受けるポルトガルのような国々にとって、ユーロ圏の持続可能な成長戦略により強化を図ることが重要であり、欧州は一丸となって危機克服に取り組むべきだと述べました。
【アソーレス自治州議会選挙】
10月14日、アソーレス自治州議会選挙(前回2008年)が実施され、現与党の社会党(PS)が得票率48.98%で31議席(+1)を獲得し、1996年から続く議会での単独過半数確保を維持しました。この結果、カルロス・セザル現州知事(PS)の後任として、ヴァスコ・コルデイロPSアソーレス代表が州知事に就任します。他方、最大野党の社会民主党(PSD/Acores)は得票率32.98%で20議席(+2)を獲得しました。その他、民衆党(CDS/PP0)は3議席(-2)、左翼連合(BE)、統一民主連合(CDU)、民衆王政党(PPM)が各々1議席(BEのみ-1)ずつ獲得しました。
【2013年度予算案の議会提出】
10月15日、ガスパール財務相とヘルヴァス国会担当相は、2013年度予算案をエステーヴェス国会議長に提出しました。その後、ガスパール財務相は記者会見において、本予算はトロイカ調査団による第5回定期審査(8月28日~9月11日実施)の結果を踏まえた内容であると共に、財政再建に向けて引き続き国民には辛抱強さが求められる旨述べました。
来年度予算案における歳入合計は705億8960万ユーロ、歳出合計は780億8360万ユーロ、収支▲74億9400万ユーロとなっています。また、財政赤字削減に向けた緊縮策の規模は53億3790万ユーロ(GDP比3.2%)で、その内訳は歳出面10億2560万ユーロ(全体の19%)、歳入面43億1240万ユーロ(同81%)となっています。なお、主なマクロ経済指標(予測)は、下表のとおりです(単位%、経常収支のみ対GDP比)。
2011年 |
2012年 |
2013年 |
|
GDP成長率 |
▲ 1.7 |
▲ 3.0 |
▲ 1.0 |
個人消費 |
▲ 4.0 |
▲ 5.9 |
▲ 2.2 |
公共消費 |
▲ 3.8 |
▲ 3.3 |
▲ 3.5 |
投資 |
▲ 11.3 |
▲ 14.1 |
▲ 4.2 |
輸出 |
7.5 |
4.3 |
3.6 |
輸入 |
▲ 5.3 |
▲ 6.6 |
▲ 1.4 |
インフレ率 |
3.7 |
2.8 |
0.9 |
失業率 |
12.7 |
15.5 |
16.4 |
経常収支 |
▲ 6.6 |
▲ 2.6 |
▲ 0.6 |
【コエーリョ首相のEU首脳会議出席】
10月18~19日、コエーリョ首相はブリュッセルで開催されたEU首脳会議に出席しました。会議終了後の記者会見で同首相は、緊縮策は経済成長と雇用創出にネガティブな影響を及ぼすが、国内経済を安定させるためにも赤字削減への努力を緩めるべきではないと述べました。また、将来的な銀行同盟の創設に向けた銀行監督一元化の合意を好意的に評価しつつ、欧州安定メカニズム(ESM)による銀行部門への直接資本注入についても期待感を表明しました。
【2013年度予算案に関する第1回全体採決での可決】
10月30~31日、2013年度予算案に関する本会議での審議、続いて第1回目の全体採決が行われ、連立政府与党の賛成で同予算案は可決されました。今後、予算案は個別委員会の審議を経て、11月27日の最終採決で可決、成立する見込みです。
(2)広報・文化班からのお知らせ
【Sakura - 日本人イラストレーターによる作品展】
オリエント博物館とNCreaturesの共催により、2012デザインムーブメント・トリエンナーレの一環として、下記の通り日本人イラストレーターによる作品展が開催されています。73名のイラストレーターによる220の作品の展示です。展示会場では、ポルトガル人イラスト作家によるマンガやアニメ作品も併せて展示されています。詳細については下記までお問い合わせ下さい。
日時:10月19日(金)~12月16日(日)
会場:Museu do Oriente
住所:Avenida Brasília, Doca de Alcântara (Norte), 1350-352 Lisboa
問い合わせ:info@foriente.pt / 213 585 200
【伊藤知宏氏による作品展示】
ギマランエス欧州文化首都イベントの一環として、同市で活動している日本人美術家の伊藤知宏氏による作品展示が行われています。詳しくは下記をご参照下さい。
【田中紅子氏による影絵ワークショップ】
当地在住アーティストの田中紅子氏による影絵ワークショップが、下記の日程で開催されます(要事前申込)。対象は18歳以上で、参加を希望される方は下記までお問い合わせ下さい。
日時:11月3日(土)、4日(日) 10:00~17:30(1300~14:30 昼休み)
会場:Museu da Marioneta
住所:Convento das Bernardas, Rua da Esperança, n° 146, 1200-660 Lisboa
申込先:213 942 810 / museudamarioneta@egeac.pt
【ワークショップ(「折り方・包み方」、「簪(かんざし)」)】
スザナ・ドミンゲス氏によるワークショップ「EmbrulhAr-te」(日本の贈呈品包みにインスピレーションを得た様々な折り方・包み方)及び「Flores as Cores」(日本の簪(かんざし)に範を取った装身具作成)が以下の通り開催されます。参加を希望される方は下記までお問い合わせ下さい。
日時:11月17日(土) 10:30~、15:00~
会場:R. Luciano Cordeiro n.° 89 Lisboa
【「リスボン」をテーマとした俳句朗読会】
リスボン市が日本愛好家のポルトガル人とポルトガル在住の日本人を対象に「リスボン」をテーマとして募集した俳句の作品朗読発表会が以下の通り開催されます。詳しくは下記までお問い合わせ下さい。
日時:12月1日(土) 11:00~13:00
会場:Teatro Turim
住所:Estrada de Benfica, 723 A 1500-088 Lisboa
【映画祭・日活百年史特集】
国際交流基金・日本大使館共催、シネマテッカの協力により、下記の通り映画祭・日活百年史特集が開催されます。田坂具隆、市川崑、川島雄三、今村昌平、荻上直子、市川準の各監督作品が上映される予定です。詳細については下記までお問い合わせ下さい。
日時:12月前半(現在調整中)
会場:Cinemateca Portuguesa
住所:Rua Barata Salgueiro 39, 1269-059 Lisboa
問い合わせ:213 110 560 / 大使館広報文化班
【ポルト大学における公開講座開催のお知らせ】
ポルト大学人文学部において、「日本の歴史・文化」及び「日本映画の歴史」の公開講座が開講されます。申し込み・開催期日等詳細については、下記URLをご参照下さい。
会場:ポルト大学人文学部
住所:Via Panorâmica, s/n, 4150-564 Porto PORTUGAL
問い合わせ先:mamiko.sakamoto.eu@gmail.com
URL:「日本の歴史・文化」 / 「日本映画の歴史」
(実施報告)
【ギマランエス欧州文化首都イベントへの合唱団参加】
10月6日~7日、本年の欧州文化首都であるギマランエス市の文化行事に日本の合唱団(CLAIR,仙台第一中学校,宮城三女OGコーラス)が参加、テノール歌手ホセ・カレーラスと共演した他、サンフランシスコ教会でのコンサートでは地元青少年のコーラスグループとも共演、最後は全員で「上を向いて歩こう」の大合唱となりました。
【IBERANIME イン・ポルト】
10月13日(土)~14日(日)、ポルト市ゴンドマール多目的イベント会場において、当国MANZ社主催、日本大使館他の協力により「IBERANIME イン・ポルト」が開催されました。同イベントは、アニメ・マンガ・コスプレ等広く日本のポップカルチャーをテーマとした日本文化紹介イベントで、日本大使館もブースを設け折り紙・書道等のデモンストレーション、また近藤書記官が日本の伝統文化とポップカルチャーに関する講演を行いました。2日間の開催期間中、会場はコスプレイヤーを始めとして6千人を超える日本ポップカルチャー愛好者で賑わいました。同イベントの模様は、こちらのサイトをご覧下さい。
大使館ブースの様子 |
メインステージ(パラパラダンス) |
|
折り紙ワークショップ |
近藤書記官の日本文化に関する講演 |
【種子島高校放送部による「欧州文化首都ギマランエス2012」イベント関連ビデオ作品】
ヴィラ・ド・ビスポ市と姉妹都市提携を結ぶ西之表市の種子島高校放送部の生徒2名が、「欧州文化首都ギマランエス2012」イベント参加の為ギマランエス市を訪れ、その際の模様を綴るビデオリポートをYouTubeに公開しています。
» 2012ギマランイスnoc nocレポート No.1 出国編
» 2012ギマランイスnoc nocレポート No.2 乗換・到着編
» 2012ギマランイスnoc nocレポート No.3 準備編
» 2012ギマランイスnoc nocレポート No.1 noc noc 1日目
» 欧州文化首都イベント・国際青少年音楽祭 in ギマランエス(10.7,於聖フランシスコ教会)
また、その他、種子島とポルトガルの関係他をテーマにした同校放送部によるビデオ作品は、こちらからご覧になれます。
【日本の外交をテーマとした講演会】
10月30日、リスボン市ルジアダ大学講堂において、同大学人間科学部主催により、日本の外交をテーマとした講演会「The Japanese Foreign Policy and the Regional Dynamics in East Asia」が開催され、日本大使館から藤村公使が講演者として参加し“Japan in economic integrations of the Asia-Pacific and beyond”と題する講演を行いました。同講演会では、ポルトガル国立防衛研究所(IDN)のアレシャンドレ・カリッソ中佐が“The unavoidable persistence of the balancing of power in East Asia” と題する講演を、文部科学省国費留学生(大阪大学博士課程)のルイ・サライーヴァ研究員が“Human Rights and Human Security in Japanese foreign policy: The importance of political values in a new regional context” と題する講演をそれぞれ行いました。
また、同講演会には、同大学国際関係学科の学生を始め、一般からの参加、メディア関係者、政府関係者等約80名が参加し、講演後は活発な質疑応答が行われました。
左から藤村公使、ルジアダ大学国際関係学科 |
講演を聴く参加者 |
(3)領事班からのお知らせ
【マデイラ自治州におけるデング熱の発生について】
インターネットを閲覧することができる方で、まだ当館にE-mailアドレスを登録されていない方は、是非E-mailアドレスをご登録ください。
当国、保健省保健総局のプレスリリースによると、マデイラ自治州において先月3日(水)以降、現在までに累計で62件のデング熱の発症が確認され、また、疑似感染者の検査待ちも463件となっているとのことです。現在、マデイラ自治州への渡航制限はありませんが、同地に渡航される場合には、関係機関のホームページ等を参考に感染予防(長袖・長ズボンの着用、虫除けの使用等)を行い、蚊に刺されないよう十分ご注意ください。
また、同地旅行後、突然の発熱、激しい頭痛、関節痛及び筋肉痛などデング熱の症状が現れた場合には、早急に医療機関の受診・相談を受けるようにしてください。
【領事サービス向上・改善のためのアンケート調査の実施】
在外公館のおける領事サービスの維持・向上を図るため、今月15日(木)まで、領事窓口等に関するアンケート調査を実施させていただきます。ついては、大使館ホームページの領事アンケートよりご回答にご協力いただきますようお願いします。
【E-mail登録のお願い】
インターネットを閲覧することができる方で、まだ当館にE-mailアドレスを登録されていない方は、是非E-mailアドレスをご登録ください。
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【在留届に関するお願い】
近年、海外で生活する日本人が急増し、このため海外で事件や事故等思わぬ災害に巻き込まれるケースが増加しています。万一、在留邦人の皆様がこのような事態に遭われた場合には、日本国大使館や総領事館は「在留届」を基に皆様の所在地や緊急連絡先又は日本国内の連絡先等を確認して援護活動を行っています。
当館でも、皆様に提出いただいた在留届により連絡先の把握を行い、大使館からの海外危険情報や広報文化活動などの情報提供、緊急時の連絡網整備、安否確認に役立てているところです。
このため、ポルトガル国内での転居、日本への帰国、他国への転出等、在留届の届け出事項に変更が生じた後、引き続きこの大使館便りをご覧の方は、速やかにその旨を下記領事班あてにE-mailにてご連絡ください。
また、皆様の友人・知人で「ポルトガルに居住しているが、まだ在留届を提出していない方」がおられましたら、届出を行うようご案内ください。
(4)その他
【当館領事業務へのご意見募集】
当館では、領事サービスの向上を図るため、皆様からのご意見を募集いたしております。どのような些細な事柄でも結構ですので、ご意見・ご要望等があればお気軽に領事班にご連絡ください。